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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「湊……?」
雫は震える手で本を開く。
ページには、今日までの日常が細かく書かれていた。
だが後半のページは黒く滲んでいる。
『彼は彼女を守るため、命を落とす』
「やめて……」
雫の声が震える。
玲は険しい顔をしていた。
「まだ確定じゃない」
「でも未来なんでしょ!?」
その瞬間。
本の中から、映像が流れ込む。
夜の交差点。
強い雨。
血だらけの湊。
『雫、逃げろ……!』
「っ!!」
雫は本を落とした。
呼吸ができない。
栞が静かに言う。
「あなたが関わることで、周囲の運命も変化し始めてる」
「私のせいってこと……?」
誰も否定しなかった。
その沈黙が何より残酷だった。
雫は後ずさる。
もし本当に、自分のせいで湊が死ぬなら。
「……もう、やめた方がいいのかな」
その言葉に、玲が強く反応した。
「逃げるな」
雫は驚いて顔を上げる。
玲の瞳は真っ直ぐだった。
「救いたいなら、最後まで向き合え」
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




