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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「空白……?」
雫は寒気を覚える。
栞はゆっくり説明した。
「失われた記憶は、完全には消えない」
「え?」
「行き場を失った記憶は、“影”になる」
玲が低く続ける。
「それが暴走すると、人を壊す」
雫は思い出す。
白いワンピースの少女。
あの寂しそうな声。
『返して』
胸が痛んだ。
「私、何を失ったの……」
玲は答えない。
だがその沈黙が、逆に恐ろしかった。
その時。
雫のスマホが鳴る。
湊だった。
『今から会えない?』
短いメッセージ。
なぜか胸がざわつく。
嫌な予感がした。
外は雨。
雫は急いで駅前へ向かった。
そこには、びしょ濡れの湊が立っていた。
そして彼は、震える声で言った。
「……お前、俺のこと覚えてるよな?」
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




