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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
雫は言葉を失った。
湊の顔は真剣だった。
「どういう意味?」
「最近のお前、おかしいんだよ」
雨が静かに降り続く。
湊は苦しそうに続けた。
「昔の話しても反応変だし、好きだったものも忘れてるし」
雫は目を逸らす。
言えない。
運命の本のことも。
記憶が消えていることも。
湊は拳を握る。
「俺、お前が消えていくみたいで怖い」
その言葉に胸が締めつけられた。
消えていく。
確かに自分でも感じていた。
「……ごめん」
それしか言えなかった。
湊はしばらく黙っていた。
やがて小さく笑う。
「謝ってほしいわけじゃない」
そして彼は、ポケットから古いキーホルダーを取り出した。
ナマケモノのキーホルダー。
「これ覚えてる?」
雫は見つめる。
だが。
思い出せない。
その瞬間、湊の顔が凍りついた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




