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運命の栞  作者: あーちゃん


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37/150

37ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


雫は言葉を失った。


湊の顔は真剣だった。


「どういう意味?」


「最近のお前、おかしいんだよ」


雨が静かに降り続く。


湊は苦しそうに続けた。


「昔の話しても反応変だし、好きだったものも忘れてるし」


雫は目を逸らす。


言えない。


運命の本のことも。

記憶が消えていることも。


湊は拳を握る。


「俺、お前が消えていくみたいで怖い」


その言葉に胸が締めつけられた。


消えていく。


確かに自分でも感じていた。


「……ごめん」


それしか言えなかった。


湊はしばらく黙っていた。


やがて小さく笑う。


「謝ってほしいわけじゃない」


そして彼は、ポケットから古いキーホルダーを取り出した。


ナマケモノのキーホルダー。


「これ覚えてる?」


雫は見つめる。


だが。


思い出せない。


その瞬間、湊の顔が凍りついた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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