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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
悠斗を家まで送ることになった。
夕暮れの住宅街。
悠斗は楽しそうに話し続ける。
「ぼくね、サッカー選手になるんだ!」
雫は微笑む。
「そっか」
「お姉ちゃんは?」
突然聞かれ、雫は言葉に詰まった。
夢。
そんなもの、考えたこともなかった。
「……ないかも」
悠斗は不思議そうな顔をする。
「なんで?」
「え?」
「好きなことないの?」
その問いが胸に刺さる。
昔の自分は、何が好きだった?
思い出せない。
雫は苦しそうに笑う。
「忘れちゃった」
悠斗は首を傾げる。
「変なの!」
無邪気な笑顔。
だが次の瞬間。
雫の脳裏に映像が流れ込む。
夜の道路。
飛び出すボール。
急ブレーキ。
「危ない!!」
雫は咄嗟に悠斗を引き寄せた。
直後。
自転車が猛スピードで横切る。
あと少し遅ければ、ぶつかっていた。
悠斗は青ざめる。
雫の心臓も激しく鳴っていた。
未来が、少し変わった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




