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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「そんな……子どもが……」
雫は本を抱きしめる。
悠斗は何も知らず、店内を見回していた。
「お姉ちゃん、この本いっぱいあるね!」
その笑顔が痛い。
玲はすぐ本を読み始める。
事故現場。
横断歩道。
トラック。
最悪の未来が書かれていた。
「止められる……?」
雫が聞くと、玲は険しい顔をする。
「分からない」
「どうして?」
「子どもの運命は変動が大きい」
栞も静かに続ける。
「少しの選択で未来が変わる。でも逆に言えば、予測もしづらい」
悠斗は棚から絵本を取って笑っている。
雫は胸が締めつけられた。
こんな小さな子が死ぬなんて。
その時。
悠斗が急に立ち止まる。
「……あれ?」
彼は奥の暗闇を見つめていた。
「黒いお兄ちゃんいる」
空気が凍る。
玲が振り向く。
だがそこには誰もいない。
しかし雫には分かった。
透だ。
どこかで、こちらを見ている。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




