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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「今の……何……」
呼吸が乱れる。
玲がすぐ雫を支えた。
「見たのか」
「玲……あれ……」
だが玲は目を逸らした。
栞が静かに言う。
「未来の断片よ」
「未来……?」
「あなたの力が強くなってる」
雫は震えた。
未来まで見えるようになっている。
それはつまり、運命への干渉が深くなっている証拠だった。
「嫌だ……」
玲が低く言う。
「だから休めって言ったんだ」
その声には苛立ちより、焦りが滲んでいた。
だがその時。
店のベルが鳴る。
カラン――。
入ってきたのは、小さな男の子だった。
七歳くらい。
ランドセルを背負っている。
「ここ、本屋さん?」
無邪気な声。
だが雫は気づく。
男の子の背後に、黒い影が揺れていた。
本棚から一冊の本が落ちる。
『高瀬悠斗 7歳』
ページが勝手に開いた。
『彼は三日後、事故で命を落とす』
空気が凍った。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




