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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「……消える?」
意味が理解できなかった。
玲は何も言わない。
店の空気だけが異様に静かだった。
「これ……死ぬってこと?」
ようやく絞り出した声。
玲はゆっくり頷いた。
雫の頭が真っ白になる。
「嘘……」
あと四年。
たった四年しか、生きられない?
「嫌……」
気づけば涙が溢れていた。
だが玲は慰めなかった。
「運命は変えられる」
その言葉に、雫は顔を上げる。
「……え?」
「ただし、簡単じゃない」
玲は店の奥を見つめた。
そこには無数の本棚。
まるで終わりのない迷路のようだった。
「ここには、人の後悔が集まる」
「後悔……?」
「誰かの人生を救えば、君の未来も少し変わる」
雫は混乱していた。
理解できない。
でも。
――死にたくない。
その気持ちだけは、はっきりしていた。
「……私は、何をすればいいの?」
その瞬間。
奥から小さな笑い声が響く。
「契約成立ね」
振り向くと、銀髪の少女が本棚の上に座っていた。
赤い瞳。
不思議な笑み。
「ようこそ、時雨堂へ」
少女は優雅に微笑む。
「私は白銀栞。この店の管理人」
彼女は雫を真っ直ぐ見つめた。
「あなたの物語、ここから始まるわ」
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




