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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
夜。
時雨堂へ着くと、店内の空気が重かった。
玲が珍しく苛立っている。
「透が接触してきたのか」
雫はスマホを見せる。
栞はため息をついた。
「あの子、また余計なことを……」
「透って何者なの?」
沈黙。
やがて玲が低く言った。
「昔、時雨堂にいた人間だ」
雫は目を見開く。
「え……?」
「俺たちと同じ、“運命を読む側”だった」
だが透はある日、突然消えたらしい。
理由は――。
「人を救った結果、大切な人を失った」
空気が冷える。
玲は続ける。
「だからあいつは、運命改変を憎んでる」
雫は言葉を失った。
もし自分も、誰かを不幸にしているなら。
その時。
時雨堂の照明が一瞬消える。
バチッ――。
本棚が揺れた。
そして。
奥から、黒い霧のようなものが溢れ出した。
「なにこれ……!」
栞の顔色が変わる。
「“消滅”が始まってる……!」
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




