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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
時雨堂へ戻った夜。
雫はふと気づく。
「……あれ?」
父親の声が思い出せない。
写真はある。
でも。
どんな声だったのか、全く分からない。
恐怖が込み上げる。
「嫌……」
雫は必死に思い出そうとする。
だが空白だけが広がる。
その時。
玲がコーヒーを置いた。
「無理に思い出そうとするな」
「でも……!」
玲は静かに座る。
「記憶は執着すると壊れる」
雫は涙を浮かべる。
「玲は怖くないの?」
玲は少し黙った。
そして小さく笑う。
「もう慣れた」
その言葉に違和感を覚える。
「……どういう意味?」
だが玲は答えない。
代わりに窓の外を見る。
そこには、雪のような白い光が降っていた。
まるで消えかけた記憶たちが漂っているようだった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




