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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
翌日。
雫たちは修司の家を訪れた。
古い木造住宅。
居間には、写真がたくさん飾られていた。
修司はカセットテープを見て震える。
「懐かしいな……」
玲が古いラジカセを直し、再生ボタンを押す。
ガガッ――。
ノイズの後。
『修司さん、ちゃんとご飯食べてますか?』
優しい女性の声。
その瞬間。
修司の目から涙が溢れた。
「……ああ」
『無理しすぎちゃ駄目ですよ』
修司は崩れるように泣き出した。
「春子……!」
雫の胸も熱くなる。
忘れていた感情が、一気に蘇ったのだろう。
声は続く。
『もし私を忘れても、あなたが笑ってくれたら嬉しいです』
部屋が静まり返る。
修司は何度も頷いていた。
「忘れない……」
その姿を見て、雫は思う。
記憶は消えても。
想いまで消えるわけじゃない。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




