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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
記憶庫で、修司の人生を辿る。
若い頃の修司。
笑う女性。
海辺。
結婚式。
幸せな記憶が溢れていた。
雫は自然と笑みを浮かべる。
「すごく仲良かったんだね」
だが記憶は徐々に曇っていく。
妻の死。
孤独。
そして。
『……名前が出てこない』
その瞬間、修司の絶望が流れ込む。
雫は涙を堪えた。
玲が静かに言う。
「人は忘れる生き物だ」
「でも……!」
「全部覚えてる人間なんていない」
雫は俯く。
それでも。
忘れたくない想いはある。
その時、一つの記憶が強く光った。
古いカセットテープ。
修司の妻の声が入っている。
「これだ……!」
雫は息を呑む。
声なら残る。
想いも、きっと。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




