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運命の栞  作者: あーちゃん


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24/150

24ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


老人の名は、秋山修司。


七十三歳。


彼の本には、“妻を忘れていく人生”が書かれていた。


「認知症……」


雫はページを読みながら呟く。


修司は苦しそうに笑う。


「最近な、顔が思い出せなくなるんだ」


写真を見ても曖昧らしい。


「でも忘れたくない」


その言葉に、雫の胸が痛む。


自分も同じだった。


消えていく記憶。


大切なものほど、遠ざかっていく恐怖。


修司は震える手で写真を撫でる。


「妻はもう死んでる。でもな……」


彼は涙を浮かべた。


「忘れたら、本当にいなくなる気がするんだ」


時雨堂が静まり返る。


玲は雫を見る。


「今回の依頼は難しい」


「どうして?」


「病気による運命は、簡単に変えられない」


栞も静かに言う。


「でも、“想い”は残せるかもしれない」


雫は修司を見つめた。


忘れたくない。


その願いが、痛いほど伝わってきた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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