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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
ページが風もないのにめくられていく。
雫は息を呑んだ。
そして、あるページで止まる。
『彼女は大切な人を忘れる』
「……っ」
胸が締めつけられる。
玲はすぐ本を閉じた。
だが雫は叫ぶ。
「見せて!」
「駄目だ」
「なんで!?」
玲は苦しそうに目を伏せる。
「未来を知りすぎるな」
栞も珍しく真剣だった。
「未来は知れば知るほど固定される」
雫は震える。
「じゃあ私は……」
誰を忘れるのだろう。
母?
湊?
それとも――。
その時、店のベルが鳴った。
カラン。
入ってきたのは、一人の老人だった。
「……ここは、時雨堂か」
疲れた声。
老人は古びた写真を握りしめていた。
「妻を探してる」
雫は戸惑う。
だが玲は静かに呟いた。
「新しい依頼だ」
老人の手には、一冊の人生の本があった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




