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運命の栞  作者: あーちゃん


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22/150

22ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


時雨堂へ戻ると、遥香の本は変化していた。


『彼女は再び、物語を書き始める』


雫は安堵の息を漏らす。


「……助かった」


だが次の瞬間。


ページの端に、黒い染みのような文字が浮かび上がった。


『代償は進行する』


雫の背筋が冷える。


栞が静かに本を閉じた。


「運命への干渉が増えてる」


玲も険しい顔をしていた。


「雫、お前もう休め」


「でも……」


「このままだと壊れる」


雫は反論できなかった。


最近、思い出せないことが増えている。


小さい頃の記憶。

好きだった曲。

昔の写真の感情。


全部、少しずつ遠ざかっていく。


その時。


時雨堂の奥で、本棚が揺れた。


無数の本が震えている。


「なに……?」


栞が立ち上がる。


「“歪み”が広がってる」


次の瞬間。


大量の本が床へ落下した。


バサバサッ!!


その中の一冊を見て、玲の顔色が変わる。


『朝比奈雫の人生』


その本が、勝手に開き始めていた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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