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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
時雨堂へ戻ると、遥香の本は変化していた。
『彼女は再び、物語を書き始める』
雫は安堵の息を漏らす。
「……助かった」
だが次の瞬間。
ページの端に、黒い染みのような文字が浮かび上がった。
『代償は進行する』
雫の背筋が冷える。
栞が静かに本を閉じた。
「運命への干渉が増えてる」
玲も険しい顔をしていた。
「雫、お前もう休め」
「でも……」
「このままだと壊れる」
雫は反論できなかった。
最近、思い出せないことが増えている。
小さい頃の記憶。
好きだった曲。
昔の写真の感情。
全部、少しずつ遠ざかっていく。
その時。
時雨堂の奥で、本棚が揺れた。
無数の本が震えている。
「なに……?」
栞が立ち上がる。
「“歪み”が広がってる」
次の瞬間。
大量の本が床へ落下した。
バサバサッ!!
その中の一冊を見て、玲の顔色が変わる。
『朝比奈雫の人生』
その本が、勝手に開き始めていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




