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運命の栞  作者: あーちゃん


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21ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


雨の中、遥香は泣き崩れていた。


雫は肩で息をしながら立ち尽くす。


頭の奥がまだ痛む。


何かを失った感覚だけが残っていた。


「……私、何を忘れたの」


小さく呟く。


だが答えは出ない。


遥香は涙を拭いながら言った。


「私、本当は書きたかった」


震える声だった。


「小説家になりたかったの」


雫は静かに頷く。


「じゃあ、また書けばいい」


遥香は苦しそうに笑う。


「もう遅いよ。二十七にもなって……」


「遅くない!」


雫は強く言った。


「生きてるなら、まだ終わってない!」


その言葉は、自分自身へ向けた叫びでもあった。


遥香はしばらく俯いていた。


やがて小さく言う。


「……怖い」


「うん」


「また傷つくのが怖い」


雫はそっと答える。


「それでも、生きてほしい」


雨が止み始める。


遥香はゆっくり空を見上げた。


その瞬間。


遠くで、誰かが雫を見ていた。


黒いコート。


神代透だった。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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