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運命の栞  作者: あーちゃん


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20/150

20ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


その夜。


雫は遥香の勤務先近くで彼女を待っていた。


雨。


終電間際。


遥香はふらつくように駅へ向かっている。


顔色は真っ白だった。


本の通りなら、この後――。


雫は勇気を振り絞って声をかける。


「あの!」


遥香は驚いて振り向く。


「……誰?」


疲れ切った目だった。


雫は必死に言葉を探す。


「あなた、小説好きですよね」


その瞬間。


遥香の表情が止まった。


「なんで……」


「諦めたくなかったんですよね」


遥香の目から涙が零れる。


「……もう無理だよ」


「無理じゃない!」


雫は叫んでいた。


「好きだったものまで捨てたら、本当に何もなくなっちゃう!」


雨が強くなる。


遥香は震えながら泣いていた。


「頑張ったのに……」


雫はその言葉に胸が痛む。


誰にも認められない苦しさ。


壊れるまで頑張ってしまう痛み。


その時。


雫の頭に激痛が走った。


視界が白く染まる。


そして――。


幼い頃の“ある記憶”が、完全に消えた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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