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運命の栞  作者: あーちゃん


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19ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「誰……?」


雫は警戒する。


だが青年――神代透は無表情のまま本棚を眺めていた。


玲の顔が険しくなる。


「透。何しに来た」


「見学」


透は淡々と答える。


「また誰かを不幸にするのかと思って」


空気が凍る。


雫は意味が分からなかった。


「どういうこと?」


透はゆっくり雫を見る。


「運命を書き換えるたび、誰か別の人生が壊れる」


「そんな……」


「知らなかった?」


玲が睨む。


「黙れ」


だが透は止まらない。


「救われた人間がいるなら、その代わりに沈む人間もいる」


雫の背筋が寒くなる。


栞が静かに言った。


「全部が間違いじゃないわ」


「……え?」


透は苦笑する。


「だから俺は止めてるんだよ」


そう言い残し、闇の中へ消えていく。


雫は立ち尽くした。


もし本当に、誰かを救う代わりに別の誰かが傷つくなら。


自分は何をしているのだろう。


玲は静かに呟く。


「気にするな」


だがその横顔は、ひどく苦しそうだった。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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