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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「俺……誰だっけ」
湊のその一言で、空気が止まった。
雫はすぐ駆け寄る。
「湊!!」
だが湊の目は混乱している。
「なんでお前、泣いてんの……?」
雫の胸が締めつけられた。
世界だけじゃない。
湊自身の中からも、自分が消え始めている。
玲が急いで栞紙を本へ挟み込む。
銀色の光。
ページが震える。
『存在固定処理開始』
だが。
本が黒く染まり始める。
「駄目……押し返されてる!」
栞が叫ぶ。
書庫主が抵抗している。
『均衡違反』
深層書庫から黒い霧が溢れ出す。
玲が前へ出る。
「雫、続けろ!」
雫は泣きながら湊の手を握った。
「忘れないで……!」
その瞬間。
湊の中に、一つの記憶が戻る。
小学校の帰り道。
泣いていた雫。
『俺が守るから』
湊の目が大きく揺れた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




