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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
時雨堂。
雫たちは急いで“記憶共有”の準備を始めた。
本棚から銀色の紙が取り出される。
“栞紙”。
強い感情を書き込むことで、記憶を固定する特殊な紙だった。
「湊との思い出を書いて」
栞が言う。
雫はペンを握る。
震える。
何を書けばいい。
その時。
ナマケモノのキーホルダーを思い出した。
夏祭り。
迷子。
一緒に見た花火。
雫は涙を零しながら書き続ける。
玲も静かに書いていた。
『雫をいつも支えていた』
透まで書いている。
「……なんで」
透は小さく笑う。
「気に食わないけど、あいつは良いやつだからな」
その時。
湊本人が苦しそうに壁へ寄りかかった。
「……頭、いてぇ」
存在が削られるたび、記憶も崩れている。
湊自身が、自分を見失い始めていた。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




