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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「ふざけんなよ……」
湊は震える声で呟く。
スマホを握る手が震えていた。
「なんだよこれ……」
雫は湊を抱きしめる。
「大丈夫、絶対助けるから」
でも。
その言葉に確信はなかった。
書庫主の声が、頭の奥で響いている。
『均衡維持』
世界は冷酷だった。
誰かを救えば、誰かが消える。
透が静かに言う。
「空白化を止めるには、“存在の核”を固定するしかない」
玲が顔を上げる。
「記憶共有か」
栞が頷いた。
「複数人の強い記憶に結びつければ、世界が消しきれなくなる可能性がある」
つまり。
湊を忘れなければいい。
強く、強く。
存在を繋ぎ止める。
雫は涙を拭った。
「やろう」
その瞬間。
湊の姿が一瞬だけ完全に消えた。
「っ!!」
次に見えた時には、輪郭がさらに薄くなっていた。
時間がない。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




