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運命の栞  作者: あーちゃん


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103/150

103ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「ふざけんなよ……」


湊は震える声で呟く。


スマホを握る手が震えていた。


「なんだよこれ……」


雫は湊を抱きしめる。


「大丈夫、絶対助けるから」


でも。


その言葉に確信はなかった。


書庫主の声が、頭の奥で響いている。


『均衡維持』


世界は冷酷だった。


誰かを救えば、誰かが消える。


透が静かに言う。


「空白化を止めるには、“存在の核”を固定するしかない」


玲が顔を上げる。


「記憶共有か」


栞が頷いた。


「複数人の強い記憶に結びつければ、世界が消しきれなくなる可能性がある」


つまり。


湊を忘れなければいい。


強く、強く。


存在を繋ぎ止める。


雫は涙を拭った。


「やろう」


その瞬間。


湊の姿が一瞬だけ完全に消えた。


「っ!!」


次に見えた時には、輪郭がさらに薄くなっていた。


時間がない。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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