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運命の栞  作者: あーちゃん


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106/150

106ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


「……雫」


湊が小さく名前を呼ぶ。


雫は涙を浮かべた。


「思い出した?」


湊は苦しそうに頭を押さえる。


「少しだけ……」


完全じゃない。


でも。


消えかけた存在が、繋ぎ止められ始めている。


その時。


書庫主が激しく咆哮を上げた。


『修正拒否を確認』


黒い霧が一斉に襲いかかる。


玲と透が前へ出た。


玲の銀色の光。

透の黒い刃。


二つがぶつかり、霧を切り裂く。


雫は初めて見る。


透と玲が、完全に背中を預け合って戦っている姿を。


透が吐き捨てる。


「お前、ほんと無茶ばっかだな」


玲は小さく笑った。


「お互い様だろ」


昔。


二人はきっと、こうやって戦っていたのだ。


その時。


湊の本に、新しい文字が浮かび上がる。


『存在再定義』


栞が息を呑む。


「成功するかもしれない……!」




最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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