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人はきっと、誰かに救われながら生きています。
大きな言葉じゃなくてもいい。
たった一言。
たった一つの優しさ。
それだけで、生きようと思える夜があります。
この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。
けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。
苦しみながらも誰かを想うこと。
忘れたくないと願うこと。
誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。
そんな、不器用で優しい人たちの姿です。
もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。
この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。
『時雨堂に、雪は降りつづく』
どうか最後まで、見届けてください。
「湊!!」
雫はホームへ駆け出した。
湊の身体は、夜の空気へ溶けるように透け始めている。
周囲の人々はざわついていた。
「え、なに……?」
「人が消えて……」
だがその声すら、少しずつ曖昧になっていく。
世界が“湊の存在”を認識できなくなり始めていた。
湊本人も異変に気づいていた。
「……なんだこれ」
自分の手を見る。
指先が消えかけている。
雫は泣きながら湊へ飛びついた。
「駄目!!」
湊は驚いたように雫を見る。
「雫?」
その瞬間。
雫の脳裏に、本の文字が浮かぶ。
『代替処理開始』
世界は本気で、湊を消そうとしている。
玲と透も駆けつける。
玲はすぐ結界を張った。
銀色の光がホームを包む。
だが。
湊の輪郭は、止まらず薄れていく。
「……俺、消えるのか?」
その声が、ひどく静かだった。
最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。
誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。
全部を救いたい。
誰も傷ついてほしくない。
そう願っても、現実は簡単ではありません。
それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。
その小さな希望を、この物語に込めました。
雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。
そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。
人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。
もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。
それが、この作品にとって何よりの救いです。
あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。
本当にありがとうございました。




