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運命の栞  作者: あーちゃん


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100/150

100ページ

人はきっと、誰かに救われながら生きています。


大きな言葉じゃなくてもいい。

たった一言。

たった一つの優しさ。

それだけで、生きようと思える夜があります。


この物語には、“運命を書き換える力”が登場します。


けれど本当に描きたかったのは、魔法みたいな奇跡ではありません。


苦しみながらも誰かを想うこと。

忘れたくないと願うこと。

誰かの痛みに手を伸ばそうとすること。


そんな、不器用で優しい人たちの姿です。


もし今、少しだけ苦しくて、少しだけ疲れているなら。

この物語が、あなたの心へ静かに寄り添えますように。


『時雨堂に、雪は降りつづく』


どうか最後まで、見届けてください。


夜。


雫は一人、駅前に立っていた。


冷たい風。


頭の中がぐちゃぐちゃだった。


どうすればいい。


凛を救えば、湊が消える。


でも放っておけば、凛が消える。


「……もう嫌だ」


涙が零れる。


その時。


背後から、静かな声がした。


「それでも選ばなきゃいけない」


振り向く。


ハルだった。


白い着物が夜風に揺れている。


「どうしてこんな世界なの……」


雫の問いに、ハルは少し悲しそうに笑った。


「人は、“何かを選んで生きる生き物”だから」


全てを救うことは出来ない。


それが現実。


でも。


雫は拳を握る。


「……私は諦めない」


ハルは静かに目を細めた。


「本当に玲に似てる」


その言葉に、胸がざわつく。


玲。


記憶は曖昧なのに。


その名前だけで、心が痛くなる。


その瞬間。


駅のホームから、悲鳴が聞こえた。


振り向く。


そこには――。


輪郭が消え始めた湊が立っていた。

最後まで『時雨堂に、雪は降りつづく』を読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、“救うこと”について考え続けた作品でした。


誰かを助けたいと思うことは、とても優しくて、同時にとても苦しいことです。




全部を救いたい。

誰も傷ついてほしくない。


そう願っても、現実は簡単ではありません。


それでも、人は誰かを想い、支え合いながら生きていける。


その小さな希望を、この物語に込めました。


雫が最後まで失わなかったものは、“人を想う心”でした。

そして玲たちもまた、誰かを忘れずに生き続けました。


人は、誰かの記憶に残る限り、きっと消えません。


もしこの物語の誰かが、あなたの心に少しでも残ってくれたなら。

それが、この作品にとって何よりの救いです。


あなたの明日が、今日より少しだけ優しいものでありますように。


本当にありがとうございました。

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