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優斗は声を絞り出すと薄れゆく意識の中、優斗自身の過去のことが走馬灯のように頭に浮かんでくる。


優斗にはもの心ついた時からいい思い出はない。保育園に通うようになって直ぐに〝デブ〟というあだ名がつけられて皆からはぶられるようになった。


小学校高学年になり女の子を意識し始めたころには運動会でダンスをするのに優斗と手を繋ぎたくないと女の子が泣いたというような思い出がある。その時から優斗は女の子に話し掛けることが出来なくなった。


その上、女の子を泣かしたと言うことで,クラスでのけ者扱いされるようになった。


中学生になると同級生の男子生徒から虐められるようになり。女生徒からはデブの臭いがすると言われ嫌われるようになった。そのころから優斗は一人でいる時間が長くなった。なにもすることが無いので優斗は勉強を頑張ってするようになった。


高校は同じ中学校出身者がいないような地元から離れた進学校を受援した。勉強を頑張ったこともあり進学校には無事入学できた。高校で虐めを受けることはなかったが今までの経験から人付き合いはうまくいかなかった。いつも優斗はボッチだった。


高校でも一人で勉強を頑張って国立の大学に合格できた。大学でも誰にも話しかけることが出来ずに一人でいるのが殆どだった。誰かと一緒に遊んだ経験などない。それでも無事大学を卒業して中規模の会社に就職できた。


そして5年と半年前にその会社をリストラされた。リストラされる8年程前から会社の業績は悪くなる一方だった。その頃から,リストラの話は優斗の耳にも聞こえてくることがあった。まさか自分がリストラされるとは思ってもいなかった。


ただ、優斗の見た目が貧相で太っているし頭は薄くなっているので見た目で社員からの印象は悪かった。それに人付き合いが苦手と言うこともあり上司から評判が良くなかった。優斗はそんな理由でリストラされたのだ。


リストラされて三か月間は失業保険の支給があったので優斗は積極的に就職活動を行った。いくつもの会社の面接にも行った。しかし見た目が貧相な優斗の印象は悪いしましてや歳が三十七歳である。どの会社も優斗を雇ってはくれなかった。


無職で悩んで近くの公園に出かけたとき足元に魔法陣が現われ異世界ミッドガルドに召喚された。優斗が召喚された国はバルトニアという大国であった。召喚された理由は魔王の討伐だった。


魔王を討伐した後はバルトニア王国の第一王女であるテレシアと結婚して魔王が治めていた領土が優斗に与えられて王国を築くという約束だった。マリアは優斗の側室になることが約束されていた。


優斗は自分がブサイクなことは十分理解していた。一生結婚は無理だと諦めていたので美しい王女テレシアと聖女マリアと結婚できると言われとても喜んだ。


優斗が魔王を倒すべく修行している間テレシアとマリアは甲斐甲斐しく優斗の世話をした。優斗は二人がそう接してくるのでますます二人のことが好きになった。そして頑張って修行に打ち込んだ。


そのときの幸せな気持ちが思い出される。しかし最後にこんな結末になるとは優斗自身思いもしなかった。それだけテレシアとマリアを愛していた。そして信じてもいた。こんな醜い優斗を愛してくれる人がいたのだと思っていた。


最後に優斗の目から涙がこぼれる。そして優斗は息を引き取った。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




優斗が目を覚ますと周りは花々に囲まれた庭園にある東屋だった。ふと人の気配を感じて目を向けるとそこには絶世の美女と言っても過言ではないような女性が優斗を見ていた。


「目が覚めたようね」


優斗を見ていたのは優斗がミッドガルドに召喚される前に天界で会った女神だった。優斗はその女神から勇者としての力を授かったのだ。


「女神様。お久しぶりです」


優斗はただそれだけ答えて自分に起きたことを思い出し涙を流した。女神はそんな優斗の頭を撫でて優斗に微笑む。その顔を見るだけで優斗の心は癒されていく。


しばらく優斗は女神に頭を撫でられていた。優斗の涙が止まると女神は優斗の頭を撫でるのをやめた。


「もう大丈夫ですか?」


「はい。大分楽になりました。有難うございます」


「いいのです。私の世界の子らが君に酷い仕打ちをして申し訳ありません。彼らには相応の罰を与えました」


「いったいどのような罰を与えたのですか?」


女神は厳しい顔をすると口を開いた。


「勇者パーティーの全員、魔法を使えなくしました。勿論王女テレシアも同じです。そして剣聖と聖騎士はその力を取り上げました。そして全員の生殖機能を奪いました。彼らは今後一切の性交渉が出来なくしました。彼らにはふさわしい罰です。私は女神なので命まで奪いことは出来ないのです。これで許して下さい」


女神は優斗に頭を下げて許しをこう。優斗は頭を下げる女神を見て唖然とした。


「女神様。頭を上げてください。女神さまは何も悪くはないです。悪いのはテレシア達です。それに女神さまが彼らに下した罰に不満はありません」


優斗の言葉を聞き女神は安どする。


「優斗さんは優しいですね。流石、私の選んだ勇者です」


「おほめ頂き光栄です」


「優斗さん。貴方はミッドガルドで偉大な功績を残しました。本来なら貴方は魔王の支配していた国々の王になるはずでした。しかし死んでしまったのでもうその願いはかなえられそうにありません。そのかわり貴方の願いを出来るだけかなえてあげます。どんな願いがいいですか?」


優斗は女神の言葉を受けて暫く考えを巡らせた。そして一つの結論に至った。


「女神様。俺はもう一度生まれ変わりたい。今度は誰もが見惚れるような容姿で生まれ変わりたい。そして本当に自分を必要としてくれる人と結ばれたい。女性にもてたい。こんな願いでもかなえてもらえますか?」


「いいですよ。そんな願いだけで良いのですか。なにかやりたいことはないですか。もっといろいろな願いをしてもいいのですよ」


その言葉に優斗はまた考えを巡らせる。そして考えをまとめて女神に話した。


「俺は前世で醜い顔のせいでひどい目にあいました。俺は来世でかっこよく生まれ変わりたいです。勉強をするのは嫌なので大学を卒業するだけの知識を下さい。それだけで結構です」


「それだけでいいのですか。貴方はミッドガルドの人々を救ったのですよ。もっと願っても良いのですよ」


優斗はなにも考えずに即答する。


「これ以上の願いはないです。そのかわり全ての願いをかなえてください」


「分かりました。でもそれだけではミッドガルドの人々を救ったことに対しての報酬にしては不足だろうと思います。貴方が転生した際には貴方の実績にあうだけの財産を差し上げます。そして。300年後のミットガルドに転生してもらいます。そのほうが舞おう出現後の混乱が落ち着いているころだと思うのでいかがでしょうか?」


「それで構いません、もう一度人生をやり直しできるのなら」


「分かりました。全ての願いをかなえます。それでは転生してください。今度は美しい顔にして直ぐに死なない体を体を準備します。それと聖女と剣聖に賢者に隠者から通り上げたすきるもさし上げます」


女神がそう言うと優斗の前身は輝いた。そして天界から消えた。


読んでくれてありがとうございます。

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