第四十九話 高出力高燃費
村で一泊してドルンゴの街へ帰った。
「お疲れさまです。色々あったようですね」
「はい。まあ無事解決したようですから良かったです」
報酬をもらって空いているテーブルにつく。
「あー、疲れた」
「……」
ミューが静かに回りを見渡している。
「どったの、ミュー」
(こっそりとテーブルが有るところを見渡してみて)
ファムは軽く運動するフリをしながら周りを見渡した。
(ここから見て大きな塊の集団が左側に、真ん中と右側に中規模の集団がある感じね)
(うん。左がカラロッカ団、中央が中立の人達、右側がエンド結社)
(今回の事件でエンド結社の力がかなり弱まったみたいだ。前はカラロッカ団とほぼ同じくらいの場所をとってたんだけどね)
(へー?)
(アバターはエンド結社の大幹部だったんだ。その彼が不正で捕まったから様々な理由でエンド結社をやめる人間が増えたのかもね)
(そりゃ減るね)
(相変わらず情報通だな)
(ハハハ)
しばらく談笑後、三人で受付へ。
「依頼状況をちょっと確認しよう」
「少々お待ちを」
「はい、お待たせしました。ホリディクラブが315。クイーンスパイダーは今のところ応募者0です」
「ありがとうございます」
一旦受付から離れて三人で相談。
「ホリディクラブが思ったより集まらないようね」
「クイーンスパイダーは未だに0か。まあ予想通りではあるけど」
「大物だからねぇ」
「そろそろ動こうかな。とりあえずホリディクラブは明日狩る日のようだから私達も参加しよう」
「クイーンスパイダーはどうしようか?」
「ホリディクラブを終わらせてから王国緊急依頼を使おう。それでそこから一週間は独自に人材の確保をしようと思う」
「と、言うと?」
「明日カニ退治が終わったらトマニクに行って知り合いの力を片っ端から借りようと思う」
「ああ、それはいいかも」
「それで決まりかな」
「了解」
「今日は適当な依頼を受けようか」
ポイントの高そうな依頼を受けた。
「ゴシャッ!」
「コイツで終わりね」
魔獣討伐、依頼達成。
「そうそう、もう闘技場じゃお互い力を出せないから、ここで手合わせしない? ミュー」
「いいとも」
「どのくらい強くなったか気になっていたのよね」
構える二人。ミューの体から魔力が吹き出す。
ファムの体の周りの大気が歪んで見える。
「いくわ!」
先制したのはファム。本来なら武器持ちのほうが有利になる事が多いのだがファムの機動力はとてつもなく高く、武器を振るよりも早く接近して間合いを詰め一瞬で制圧する事が可能。何度も試合を見てきて、これまではミューよりファムのほうが少々強いくらいだったが、はてさて。
「ウインドスラッシュ」
剣に風がまとわりつく。それが一瞬で20メートルほど伸びた。
「クッ!」
たまらずファムはサイドステップで交わす。うまく接近を拒んだな。しかしそれ、もうほとんど飛び道具じゃないかな。
ミューはすぐさま風の魔法を解き、剣を地面に刺した。
「ウォーターベール」
地面に亀裂が走り、それが広がっていく。
「バリン、バサーー!」
地面がそこから凄まじい勢いで水が吹き出す。ウォータージェットみたいなやつか。それを下から浴びた岩が粉々に粉砕された。
「ヌゥ!」
ファムは後方へジャンプしてかわした。かなりパワーアップしたはずのファムがなかなか近づけない。
「やるわね」
ファムが近づけるかどうかが勝負どころかなぁと呑気に見ていたが突然ミューがファムへ突進、しかもかなりの速さだ。
「はやっ!」
向こうからの接近はないと油断もあったのだろう。面くらい、体勢の悪い状況で接近を許してしまった。
「ブヒュン」
ファムの喉元に剣先が添えられた。
「勝負あり」
「さっきの動きは何? 私より早く動いていたけど」
「魔力を使って体、筋力の補助。ブレイドもうまく使う。それらを合わせた機動法だね」
本当に器用だな。
「ただ魔力の消費量が半端じゃないから使い続ける場合は3分程度が限界、使用回数だと10回ってとこかな」
「いやーそれでも凄いよ」
機動力はミューの弱点だと思っていたが一時的、一瞬ならファムをも凌ぐスピードを出せるわけか。ふむ、奥の手ってやつだな。
こうなるとどっちが強いって言われてもわからないレベルだな。
「もう一回!」
しばらくファムの気が済むまで戦った。
「3勝10敗か。魔力がある間は勝てる可能性が低いな」
「予想はしていたが魔力が尽きると勝負にならないな。長期戦は勝てる気がしないね」
「よーし! もっともっと強くなるぞ!」
「まだまだ強くなるさ、ファムも、ミューも」
「ハハハ、そうだね」
ギルドに戻り報告。その後は三人で飲みに。




