第五十話 カニ鍋
次の日。ギルドでホリディクラブの依頼を受けるため受付へ。
「おはようございます。ホリディクラブですね。彼らは巨大な岩山、その中にある湖に生息しています。その岩山にはいくつか洞窟があるんですが最終的にどの洞窟も蟹がいるところにつながっています」
「ほほう、じゃあどの洞窟から入っても狩れるわけですね」
「はい。後知っているとは思いますが彼らは群れで動くので、一気に狩ろうとすると全カニが襲ってくる可能性もあるから、少しづつ狩ってくださいね」
「わかりました」
「それと、荷車の使用をおすすめします」
「そうですね。彼らの体をそのまま納品ですからね」
「はい。1台で15体くらいで一杯になると思います」
「とりあえず1台、お借りします」
「処理場にあります。行く前に寄っていってください」
「そうします」
その後は夜まで睡眠。
「ふぁー、寝まくったわ」
「夜勤者用の宿屋なんてのもあるんだな」
「色々な商売があるものさ」
食事後、処理場で荷車を借り現場へ。
「大きな岩山だな」
「おや? 先客だね」
数人冒険者がいた。彼らもカニ狩りかな?
「こんばんはー」
「こんばんは」
「あなた達もホリディクラブですか」
「そうだ、コイツラと一緒にな」
斧を担いだガタイのいい冒険者が答えてくれた。その彼の後ろには冒険者が数人いた。
「見ねえ面だがここは初めてか?」
「はい」
「知っているとは思うが釣る時は気をつけろ。釣りってのは数匹の魔獣だけうまいこと誘い出すことだ、ってそれは知ってるか。失敗したら即逃げして洞窟から出ろ。それ以上は追ってこねえ。そういう理由もあって荷車は狩りが終わるまで外に置いておいたほうがいいな」
「それじゃ俺達はこの穴から侵入するぜ。今日は他の穴にはまだ誰も入ってないようだから好きなところに入るといい」
「情報ありがとうございます」
「いいってことよ」
男とその仲間たちは岩山の洞窟へ入っていった。
「思ったよりたくさん洞窟があるな」
「ん~、ここでいいか」
適当な穴から侵入。
「もう23時か。いつもならそろそろ寝る時間ね」
「これ結構きついね。肉体的にもだけどうまく時間を調整しないと2日潰れちゃうし」
「一応賞金は高めで出してはあるが、キツイってのは同感だな」
しっかしやはり洞窟、狭いな。あっ。
「大剣使えないな」
「洞窟ごと、岩山ごとぶった切っちゃうわね」
「あー、そうだね。でもサイモンなら格闘技でいいんじゃないかな?」
「そうするかぁ」
洞窟の奥に到着。広い空間に出た。
「うわー、すんごい数」
数万匹のカニが群がっている。
「なるほど、皆が釣りを注意って言うわけだ」
「これが一気に来たら圧死だろうねぇ」
「私達なら一気にやれそうだけどそれはそれで絶滅とかそっちの話になりそうだよね」
「ハハハ、そうだな。地道に狩っていこう」
その後はミューがうまく釣ってくれてあっという間に荷車の限界の15匹まで討伐した。
「一旦戻るか」
それをもう一回繰り返し、3回目の狩り。
「15匹っと。おや、カニ達が湖の中に入っていくね」
「洞窟に光が入り込んできている。そろそろ時間かな」
荷車にカニを乗せ洞窟の外へ。出た瞬間、凄く良い香りが俺達の胃袋を襲った、
「おう兄ちゃん達、いいペースで狩れたようだな」
先程洞窟に入る前に声をかけてくれた冒険者が、鍋に入っている具材をかき回していた。
「それはカニ鍋ですか」
「そうだ。ここのカニは美味でな。お前らも食うか」
「いただきます!」
非常に早い返しのファム。まあ、無理もない。お腹が空いた状態でこの匂いをかがされたらもう敗北だろう。
「ハーッハッハ、いいぞ。どんどん食ってくれ。もちろんおかわりも自由だ」
周りには男とその仲間以外の冒険者も多数いた。
「何人かはお前らが入った後に狩りに来たやつだが、その他のやつは鍋だけ食べに来たやつだ。美味いしタダ飯食えるしとカニ狩りは終わってからが本番だぜ?」
酒盛りをしている冒険者もいる。
「あー、それじゃ私達もカニ一匹お渡しします。処理場に置いたらまた来ます、お酒付きで」
「おうよ。それでもいいぜ。お昼ぐらいまでやってっからよ」
処理場にカニを置き、適当にお酒を買って再びカニ鍋の現場へ。
「なんと! この姉ちゃんが大量にお酒を投入してくれたぞ! 皆、感謝しながら飲め飲め!」
「うおーー!」
その日は結局、夜までお酒とカニを楽しんだ。
「ウィー、きーつけてかえれ」
酔っ払って寝ている男が寝言で俺達を気にかけてくれた。
他冒険者達も酔っ払って皆寝転んでいた。
「よーし帰るか」
「そーねぇ。帰りましょぉ」
二人も酔っ払っている。が倒れるほど飲んではいないな、関心関心。それにしてもカニが美味かった。来週も楽しみだ。
ふらつき気味の二人に肩を貸し、街へ帰った。




