第四十二話 王都観光
「おはようございます。今日案内させていただくニジャ・ヌンです、よろしくおねがいします」
「よろしくおねがいします」
四人馬車に乗り込んで出発。通常の馬車とは違い風景が楽しめるつくりになっている。
「これはいいですね」
「ウチの自慢の馬車です」
360度、眺めることが出来る。
「それから気になったところがありましたら言ってください。トータルで1時間ほど余裕がありますからその時間分は好きなところに寄っていけます」
「わかりました」
「地図、お飲み物、記念品をお渡しします」
それらを受け取る。
ほどなくしてニジャさんの観光案内が始まった。
「この辺りは武器屋が多く――」
ニジャさんは主要な施設、有名な場所などを説明してくれた。
「ほうほう、それであれは?」
「あれはですね――」
ミューはニジャさんから情報を多数引き出し、メモ帳に書き込んでいる。うむ、そちら方面はおまかせします。
「この辺りは学校が多いですね」
「あ、鉄の園だ」
「鉄の園は鍛冶、裁縫など職人関係の学校ですね。他にも剣術、武術の学校や魔法の学校、商売関係の学校などいろいろな学校がありますよ」
「へぇ~」
「おや、魔女たちが遠乗りの授業をするようですよ」
相変わらず変わったホウキ、変わった乗り方の魔女達が空を飛んでいる。
「ははは、変わった子達ね」
それからもしばらく王都の解説をしてくれるニジャさん。
「この辺りは美術館、歌劇場が多数ありますね」
「ふむふむ」
少しして馬車が止まる。
「さて、そろそろお昼にしましょうか。お店を用意してあります」
「はーい」
馬車から降りニジャさんの後ろをついて歩き店へ。
「それにしてもホントに広い街ですね」
「この一日王都観光も馬車を使ってなんとか、といったところですね」
食事を済ませ馬車へ。しばらく走ると木と土の風景に変わった。ニジャさんが説明を始める。
「ここからは農業地域に入りますね。非常に広い区画です。街の三分の一は農業区画です。ですがなんのかんので農業は農業、見どころはそんなに」
苦笑いをするニジャさん。しかしミューは隣で目を輝かせていた。
「ここは王都最大の」
「ぶどう畑がある農場ですね」
「そのとおりです」
「ここへ寄っていきたいです」
「はい。お酒を売っているかはわかりませんが行ってみましょうか」
小さな小屋があり、そこでお酒を販売していた。
「まいどー」
「ぐっふっふー」
非常に嬉しそうにお酒を抱えるミュー。ホント好きだね。
馬車は再び走り出す。
「ここは王都最大の」
「大麦を作っているところですね」
「そのとおりです」
先程のやり取りを繰り返し、ミューはエールを手に入れた。
「ぐふぉっふぉー」
馬車は再び走り出す。
「ここは世界でも有名な養蜂家がいるところですね」
「そのとおりです」
いよいよニジャさんの説明よりも早く答えを言いい出したミュー。
蜂蜜酒を買いご機嫌だ。
「フォッホッホー」
「す、好きなんですね」
先程一風変わった魔女たちを見ても眉一つ動かさなかったニジャさんが若干引いている。
「お話のとおり農場が多いですね」
「気候、土が良いから昔から盛んなんですよ。トマニクは逆に良すぎて雑草が邪魔をするとか」
「あの土地は特殊ですねぇ」
農業区画を越えるか越えないかの前でニジャさんが説明を始めた。
「この辺りは非常に治安が悪いところです。できるだけ近づかないほうが良いと思います」
多数のあばら屋、人相の悪い人達。
「王は彼らにも手を差し伸べているのですが、中には自ら悪に手を染めたり、自堕落な生活を好んだりとどうしても道から外れてしまう人達もいる、とおっしゃられていましたね」
「そんな人達がここに」
「そう、なりますかね」
こればかりはな。100人いれば何人かはズレた人が出るというし、仕方ないか。
「さて、最後に小舟で運河を走ります」
「わお、素敵!」
「ハハハ、女性が二人いるということで観光に組み込ませていただきました」
「いいですねー、こーいうのいいですねー」
運河の流れに任せて小舟で街の中をのんびりと移動。
こいつはいいな、また乗りたい。
「はい、お疲れさまでした。これにて一日ドルンゴ観光は終了となります」
「楽しかったー」
「楽しくこの国を知ることが出来ました。ありがとうございます」
「他にも色々なツアーがあります。よろしかったら今後ともご贔屓に」
観光所から出て街へ。
「さーて、荷物を宿に預けたらさっきニジャさんから聞いた飲み屋へ行こうか!」
テンションが高いミュー。良いお酒が手に入って満悦のようだ。
「そうしようか」
俺達は夜の飲み屋街へとはいっていった。




