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第二十八話 強者との対話

「驚かせてすまない。少し話がしたいのだがいいかな?」


「はい」


「ここではなんだから場所を移そう」


「わかりました」


 彼の提案に従いギルドから出る。

 ふぅ、それにしてもなんて爽やかな男なんだ。チンピラさんが一発KOしてしまった気持ちが少しわかった。


「何の話かしら」


「さあ」


 女性陣のほうが冷静なようだ。それはそれで恥ずかしい気がする。


「ウッドさんこんにちは、これからお出かけですか」


「ああ、ちょっとした用事でね」


 衛兵にギルドカードを見せ外へ。人気のない近くの森まで歩いた。


「申し訳ないが、こちらにも色々と事情があってね。君達の事を調べさせてもらった」


「俺達を調べた?」


「ああ。厄体からアネスの件まで」


 あー、そっちの件か。この言い方だとすでに俺達が何をしたか知っている風だな。


「おっと、身構えないでくれよ。単純に我々は知りたいだけだ。三賢者にあれこれ騙されて追い出されてから慎重になったのさ」


「コスラさんに話をしても知らぬ存ぜぬでね。是非君達とこの件で話をしたかった」


(どうする?)


 うーん。ゲームと同じなら爽やかイケメンで心優しくお金持ちで裏もなく信頼できる男だろう。だが、ゲームとこの世界は全く同じではない。ううーん、困った。


「少々時間をもらえませんか?」


「いいとも」


 二人を連れウッドさんから少し離れたところで話をした。


「この場合どうしたものか。この手の話は苦手だな」


「そもそも隠しているのは私達が動きにくくなるからだっけ」


「あれ? それだけだっけ。じゃあ問題ないか」


「コスラさんは約束した手前ああいう態度を貫いたんじゃないかな」


「そうなるな」


「いいか、話してしまおう」


 ウッドさんのもとへ戻る。


「お待たせしました。はい、実は我々が厄体、アネスの件を片付けました。隠していたのは単純に目立ちたくなかったからです」


 ウッドさんがうなずく。周りにいる彼の仲間も。


「そうか、本当のことを言ってくれてありがとう」


 笑顔とともに後光が浮かび上がる。まぶしい。


「本当は聞こうか迷っていたんだけど、アイさんが聞いてこいって言ってくれてね」


「ははは、あの人らしい」


「あ、良かったら秘密にしておいてもらえますか」


「それはもちろん」


(サイモン。これは仲良くなるチャンスだよ。話を盛り上げるなりしてがんばって)


 どうもおしゃべりの方は得意ではないんだけどねぇ。まあ適当に。


「ウッドさんは刻印いくつ付いてます?」


「私は9つだね」


「うへ~、凄い。最高ランクの10ももうじきです?」


「こちらはかなり条件が厳しくてね、まだ時間がかかりそうだよ。それに」


「それに?」


「最大は10ではない。11だよ」


「聞いたことないですね」


「普通は10までだからね。ギルドでもそう説明される。それに11を付けたものは今までで一人も居ない」


「ん~? それは一体」


「異世界の戦士という話だ」


「そ、そうですか。なんだかメルヘンですね」


 今お茶を飲んでいたら彼の顔にぶちまけていただろう。いやいや驚いた。

 ミューとファムも難しい顔をしている。そらそうなるか。


「ギルドでも一部の人間だけが知っている話だよ。信じている人間は居ないけど。あ、一応秘密にしておいてくれ」


「はい」


「ところで君達の刻印数は?」


「俺が3、ミューが4、ファムが3です」


 3人のカードを渡す。


「ふむふむ」


「今後はポイントを稼ごうって話を皆としていたところでして」


 俺達のカードを眺めこちらに返した。


「今度一緒に組んでやってみないか? なかなかの強敵でね。結構稼げると思うよ」


「いいですよ」


「ちょっと遠いところになるけど」


「遠距離はアネスの件でちょっと……」


「アネスも連れていくというのはどうだろう?」


「ああ、その手もあるか」


「一応聞いておきます。問題なかったら我々も魔獣退治を」


「わかった。期待しておくよ」


 微笑むウッドさん。


「さてと、今日は済まなかったね」


「いえいえ、ややこしくしているのは我々なんで」


「ではまた」


 ウッドさん達は街に帰った。


「やるじゃない、ウッドさんと仲良くなれたんじゃないかな」


「ふふふ、まあね」


 おしゃべりは得意ではないんだけど昔、三空さんに「お前には先輩を落とす才能がある」とよくわからないことを言われたことがある。それが炸裂したのかな。


「早速コスラさんと相談かな」


「そうしよう」


 ギルドへ戻る。


「わかった、俺の方から王に話を通しておこう」


「お願いします」


「さてと、今日は適当な依頼でもやろうか」


「ああ」


 その日は夕方になるくらいまで依頼をこなし続けた。

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