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【完結】捨てられ令嬢と魔女の薬屋  作者: 竹間単


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●31


「あ、あー……ジェフ。やっぱりこのままジェフが男の俺と同室なのはまずいよな!?」


 仕事を終えて部屋に戻ると、リッキー先輩が気まずそうな顔をしていた。


「昨日は混乱しすぎてて部屋を変えることなんて考えてなかったが、男女同室はいろいろと問題があるだろ!? 部屋を変えた方が良くねえか!?」


「リッキー先輩は僕と一緒の部屋だと困りますか?」


「俺がというか、お前の方がさ……」


 リッキー先輩がもごもごと口ごもった。


「いえ、今の僕は完全なる男なので問題ありません。女装をしているだけ、とはわけが違いますから」


「でも元は女なんだろ!? しかも薬が切れるかもしれねえって言うし。その状態で男判定するのはマズいだろ」


 確かに一人部屋になれるなら、今よりもいろいろと楽かもしれない。

 しかし先程のフレッドさんの反応を見る限り、私が特別扱いをされていることに疑問や不満を持っている人は他にもいそうだ。同じ使用人なら彼よりもさらに私に対する負の感情が大きいのではないだろうか。

 そんな中で一人部屋なんか与えられようものなら、私はいじめの対象になる気がする。ルーカス様の知人ということで、証拠が残るタイプの嫌がらせはされないだろうけれど、無視をされたり冷たい態度は取られる気がする。


「リッキー先輩の提案はとてもありがたいのですが、他の使用人から苦情が出ませんか? 新入りに一人部屋なんて、って」


「うん? 部屋数的にも、一人部屋じゃなくて女との同室を提案してるんだが?」


「そっちの方がマズいでしょう!? 今の僕は完全に男なんですから!」


 リッキー先輩は混乱しすぎた結果、とんでもない考えに辿り着いてしまったようだ。

 そんな部屋割りを発表したら、他の使用人にリッキー先輩が乱心したと思われてしまう。なんとしても止めなくては。


「僕は今の部屋割りで良いです。いえ、この部屋が良いです!」


「って言っても、心は女なんだろ?」


「だとしても何も知らない女性と同室よりも、僕の秘密を知っているリッキー先輩と一緒の方が心強いです。リッキー先輩が秘密を漏らす気が無いのであればですが……」


「俺から秘密を漏らすわけねえだろ!? そんなの、俺が女と同室だったって言うようなものなんだから!」


 確かにそれはそうだ。実際には何も無いけれど、いかがわしい出来事あったのではと邪推される可能性は大いにある。


「それならこのままの部屋割りで行きましょう。今のところ薬が切れた昨日以外に問題は起きていませんから」


「それは昨日までジェフが女だって知らなかったからで、知った今ジェフと同室っていうのは問題が……」


「今現在男である僕と、女性を同室にすることの方が問題ですよ。ですが今の部屋割りなら、リッキー先輩が我慢をすれば済む話です」


「そうか。俺が我慢をすれば……って、俺ばっかり損してねえ!?」


 リッキー先輩はそう文句を言ったものの、他に私と同室にすることの出来る人もいないため、このままの部屋割りでいることを了承してくれた。




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