↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/38

~33.夜の城って…怖いに決まっているだろう!~

11/24 追記

本当に本当に遅くなりまして申し訳ございませんでした!

本日21:00より次話を投稿いたします。


「はぁ…はぁ…もう少しか。」

伯爵と別れてから俺は丘に向かって歩き始めてから数十分が経過していた。

話を聞いたところ、どうやらレフィストはヴァリアント城に居るらしい。

自分が今まで遺跡に眠っていた分高いところが好きなのだろうか。

というかボスが城に居るってお約束の展開だな…この世界にもあてはまるらしいな。

そんなことを言っている間に城の正面にたどり着いた。

「ふぅ…。ようやく到着だな…」

俺は汗ばんだ額の汗を拭い、息を整えてからその目的の城を見あげた。

城壁は漆黒に染められ不気味なオーラを纏いつつ聳え立っている。

外からは中を見ることは出来ない。唯一見えるのは窓から揺らめくろうそくの火。

そして一度入ったら二度と戻れないような強固な扉。その左右を赤い眼を持つ悪魔のような姿の銅像が二つ。今にもこちらを狙っているかのように目を光らせて見張っている。

中にあるのは地獄か闇か…いずれにしてもいいことがあるとは到底思えない。

遠くで見ていたときは、美しかったが近くで見ると恐ろしい印象を受ける。

正直、見ているだけで憂鬱な気分になる。

「…こんなのが自分の家の前に立ってたら嫌だな…」

なんかのゲームだと川を挟んだところにこういう建物があったよな…そりゃそこの家主(魔王)を倒したくなるよな。

俺はそんなことを考えながら門に向かって堂々と歩き始めた。

普通に考えたらこんな場所に正面から向かうのはありえない行動だ。頭がおかしいと言っていい。

そんなことをしたらレフィストに知られ、間違いなく冥族の屈強な魔技使い(を乗っ取っているフィジレス)が一斉に襲い掛かってくるだろう。そうなったら倒せる自信がないし、仮に倒せてもタイムリミットの朝を迎えてしまう。どちらにしてもチェックメイトだ。

しかし今の俺は見つかることがない…なぜなら伯爵から「隠滅(ハイディング)」と呼ばれる魔技(レソナ)をかけてもらっているのだ。

「隠滅(ハイディング)」は魔技(レソナ)によって透明な光をつくり、自分の周囲に纏う。この光は瞬時に周囲の景色を記憶し、自分の動く座標に合わせて環境に溶け込み映像を投影する。そうすることで横から見ても上空から見ても違和感を覚えることができなくなるのだ。

さらにこの魔技(レソナ)の恐ろしいところは、その場を物体が通過したとしても「隠滅(ハイディング)」が解除されないのだ。

隠れるための魔技(レソナ)はそこまで難しくないらしいが、それらは自分の居場所がバレるかその部分に衝撃が加えられると解除される。よく忍者がものに隠れるのに背景が描かれた布をもって隠れるが、そこにものが当たると布がめくれてしまうようなイメージだ。

しかしこの「隠滅(ハイディング)」は飛んできた物質が衝突する前にその形状、軌道、速度を正確に記憶し、そのからどのように飛ぶかを予知してその映像…つまり未来を予測した映像を映し出すのだ。仮にその物質が術者に命中していたとしても、周囲は何事もないようにその物質が通過した光景がそのまま目に映るのだ。よほどの大きい衝撃が襲わない限りまず解除されないのだという。

その場にはなにもないように…まるで空気のように感じさせるこの魔技(レソナ)は完璧な隠蔽ができる。

しかしこれには弱点がある。ひとつは「隠滅(ハイディング)」を使用している間は歩くことしかできないことだ。外側の変化に対応しているため、自分自身の速い動きにはついていけないのだ。

その結果走ったり跳躍して向かうことが出来ず、時間を掛けて城まで向かう羽目になった。

もうひとつは一度「隠滅(ハイディング)」を見破られると、しばらくの間魔技(レソナ)が使えなくなることだ。これは同時に二種類の魔技(レソナ)を使うことができない法則が関係している。この魔技(レソナ)は完全に消滅するまでに時間がかかる。次に魔技(レソナ)が使えるまでには約5分間…その間相手の攻撃を魔技(レソナ)なしで凌がなければならない。それが絶望を意味することはこの世界の人間にとって常識である。

そのデメリットのため「隠滅(ハイディング)」は戦闘ではなく情報収集や潜入のために用いられる。今回は俺を無事に城の中へと侵入するために伯爵からかけてもらった。

これで無用な戦いは避けられる。無駄に冥族(正式には冥族に操られたフィジレスだけど)を遭わずに直接レフィストまでたどり着ける。

俺は扉に両手を当てて力強く押した。

重苦しい扉は「ギギギ…」と鈍い音を立てゆっくりと左右へ開いた。

「なんだこれは?」

俺は思わず口元を抑えた。

なぜなら城の中は黒い霧のようなもので覆われていたのだ。

その黒い霧はかなり高く奥を見ることはできない。酸素が薄いのか空気全体が重く感じる。

おまけになにかが焼き焦げたような匂いもしている。

まさに闇の巣窟…邪悪なオーラは城の外で感じたものとは比べ物にならなかった。

これ絶対駄目だろ…嫌な予感しかしないぞ。

それにこの黒い霧…毒ガスとかじゃないよな?だったら間違いなく死ぬぞ。

「うわっ…入りたくねぇ。」

思わず本音をつぶやいてしまうくらいに俺は逃げたくなった。

この逃げたいという衝動は昔、夏休みの宿題が終わらないまま九月初めの朝を迎えてしまったくらいと同じレベルだ。

しかし今は延期魔法「イエニワスレマシタ」が使えない状況…覚悟を決めるしかない。

俺はゆっくりと鞘から剣を抜き、ゆっくりと城の中へと歩き出した。


城の中へ入ると黒い霧は一層濃くなった。数歩歩いただけで後ろの扉が見えなくなる程だ。

それに焼き焦げた匂いも強くなった。この匂いを嗅いでいると気持ちが悪くなっていく。

走って移動するはおろか歩くことすらままならない。とてもじゃないがこの中からレフィストを探すなんて不可能だ。

それに人の気配も感じない。なんだか幽霊でもでてきそうだな。

「仕方ないか…まあここでならバレないだろうしな。」

俺は体勢を低くして前方の霧目掛けて勢いよく斬撃を放った。

すると剣の軌跡を中心に風が巻き起こり黒い霧は左右に切り裂かれた。

二度の戦いで自分の剣でこれくらいできることはわかった…こんなことができてちょっと嬉しいのは内緒だ。

とっさに先程の斬撃で視界が晴れた城内を見渡した。

視線の先には大きな空間が広がり、天井にはシャンデレラが吊り下がっている。その中心には芸術的な絨毯が敷かれ、高級感が漂っている。その先には赤いカーペットが敷き詰められた階段があり途中で壁に沿うように左右に分かれている。

まるで高級ホテルのロビーといった感じだ。

「う~ん…普通だ。」

正直もっと恐ろしい…例えば今にも動き出しそうな怪物の石像があるとか、電流が走るような仕掛けがあるとか、不気味な火の玉が漂っていたりとか想像していたのだが…意外だな。

「そんなことよりまずはこの霧をなんとかしないと。」

一旦気持ちを切り替えて注意深く周囲を見渡した。すると階段を上がった左側が異様に濃い霧が出ていることに気がついた。

どうやらそこの奥に黒い霧の発生源があるらしい。

俺は足に力を入れその場から跳躍し、階段を無視して霧が発生していると思われる二階へ着地した。

そして先ほどよりは弱く剣を払い、周囲の霧をかき消す。

しかし先ほどよりも濃い所為か一瞬で霧は濃くなり、先の見えない状態へと戻っていった。

それでもうっすらだが見えた。

ここから先は一直線の廊下がのびていき、左右にはいくつも扉があった。おそらく客人を泊めるための部屋なのだろう。

そしてその廊下の先には一際大きな扉があり、その扉の隙間から原因となる黒い霧が出ていた。

俺は再度、強い斬撃で霧を払い一気に扉まで行こうとしたのだが、斬撃は繰り出さずに臨戦態勢のままゆっくりと前へと歩き出した。

(奥から人の気配を感じる…それも結構な数だな)

この狭い空間で先程の斬撃を放ったら間違いなく扉が震え、壁が軋む音が響くだろう。

そうなったら何事かと警戒される。そればかりか危険と判断し大人数が移動したらまずい。いくらこちらが「隠滅(ハイディング)」で姿を消していても、その場所には俺がいるのだから接触した時点で発見される。かといって素早く移動したとしてもその動きに「隠滅(ハイディング)」が間に合わず、霧の揺れによって発見されてしまう。

ここは自分の周囲だけ払いながら移動するしかない。俺は左右の扉を警戒しつつゆっくり前に進んだ。

そして時間はかかったがなんとか黒い霧の発生源がある部屋の扉に到達した。誰も出てこない…よかった、ここまではバレていないようだ。

(さて、ここにレフィストはいるのかそれとも…)

俺は意を決し、なるべくゆっくりと目の前の扉を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。