~28.ディフェンスに定評がある伯爵~
今回は凄く短いです…しかしここで切らないと変になってしまうのでやむをえずこの形になってしまいました。申し訳ございません
そのお詫びではないのですが次話の投稿は早くなります。
8/13か8/14の21:00に投稿しますのでよろしくお願いします
追記
8/14 21:00に投稿確定です。よろしければ続きを読んでください!
本当の理由に気づいた俺はとっさに攻撃を格闘術にシフトした。
これなら手は素手で足はスニーカー…火花など散ることはない。
「はあぁぁぁ!」
俺は気合をいれて連打を浴びせる。
が、伯爵も剣撃のときと同様、巧みに防御している。
(くぅ~…素手で金属殴るのはすっごく痛いんだぞ!)
そんな心の声も空しく響くが攻撃を止める気はなかった。
それが功を奏したのか伯爵は徐々に防御が追いつかなくなり一歩また一歩と後退していた。
あっちは大剣でこっちは両手足…先程の剣撃とは根本的に手数が違う。
それに格闘術に関しては剣ほどではないが俺も素人ではない。
俺の使う「蒼月流」は人を護るためにふるう剣…その剣はなにも得物だけではない。そこにある全てのものが剣となる。
もちろん自分自身も例外ではない。そのため幼少時代から空手や柔道など一通りの武術を習わされた。
でも現実世界ではまるで役に立ったことがないが…まさか異世界でそれも魔技を使うところで役に立つとは夢にも思わなかったな。
でも、もう手がかなり赤くなってるから勘弁してほしい…。
せめて一撃だけでも当たってくれ!
「うっ!」
その祈りが通じたのか、フェイントをいれてから回し蹴りを放つと威力を抑えることが出来ず伯爵の身体がおおきくよろめいた。
(チャンス!)
俺はその様子をみて好機と踏み切り大地を蹴って飛び込んだ。
その姿を視覚に捉えた伯爵はとっさにヴェルフレアで袈裟斬りを放った。
が、所詮苦し紛れの一撃。そんなもの当たるはずもない。
俺は体重移動だけの最小限の動きだけでかわした…が。
「んっ!」
俺はそのときにあることに気づいた…伯爵の口元が緩んでいることに。
それに気づき一瞬、避けた得物に視線を送る。
(ヴェルフレアが光っていない!)
その事実を知り視線を正面に戻す。うわぁ…伯爵ったら、いい笑顔。
しかしその顔と反比例するように、その手には周囲の大気を揺らめかせるほどの禍々しい炎が集まっている。
よく見れば分かる…あれはお得意の火球を展開している。
さすがに武器なしじゃ魔技は防げない。
しかも今は飛び込んでいる状態…勢いが付いているから避けるのは難しい。
あと数秒もしないうちに火球とご対面、そして消滅。
ネットなら、両手を挙げて「オワタ」とか言ってるんだろうなぁ…というか顔文字って考えた奴すげぇよな!
俺は最後になるかも知れない人生の貴重な残り時間をそんなくだらないことを考えて費やした。
その間に伯爵は火球の展開を終え、俺を殺す準備が完了したようだ。
「くらえっ!」
そう言って俺は水面蹴りを放つが、無駄な足掻きといわんばかりに軽々と飛び上がって避けられた。
「終わりだ…さようなら勇者。」
そして別れの言葉を口にすると俺に対して火球を投げつけた。
そのまま俺はなすすべなく炎に包まれる…はずだった。
しかし俺と火球の間に割って入るように異物が飛び込んできた。
「なにっ!」
その異物に伯爵は驚くが、俺は必ずこうなると予期していた。
すぐに俺はその異物の端を掴み、静かに告げた。
「…蒼月流、剣舞『疾風』」
剣撃と蹴撃を合わせた高速の刃が、火球もろとも伯爵を捉えた。
そう…その異物とは先程まで俺が使っていた剣だ。
伯爵は瞬時に防御壁を展開しようと両手を目に突き出した。
気がつけばヴェルフレアは消えている…空振りした後だ、迎撃には間に合わないと判断したのだろう。
その分の力を防御壁に回すことでより強固にするつもりだ。
おそらく俺の攻撃を反射する形で地面まで叩きつけるつもりだろう。
この空中では攻防一体の魔技…一瞬でそこまで判断した伯爵はやはり賢い。
その姿に俺は軽く笑みをこぼした。
相手にとって不足なし…俺は身体を反転させ、もう一度剣に力を与えた。
そして伯爵と俺は空中で強く衝突し、周囲には激しい風が俺たちを中心に吹き荒れた。




