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文字サイズは、「極大」から、老眼に負けるもんか!  作者: 藤一


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一年の軌跡と、極大の感謝

朝、いつものように相棒スマートウォッチの振動で目覚めた佐藤は、ベッドの中でスマホの画面を開いた。

画面に通知が表示されている。

【一年前の今日、最初の写真が撮影されました】

佐藤が老眼鏡をかけ直して画面をタップすると、そこには一年前、このスマホを手に入れた日に撮影した「庭の黒松」の下手くそな写真がドカンと極大表示された。

「ほう……。一年前の今日か……」

佐藤は深く息を吐き、画面をしみじみと見つめた。

あの日、「電話とメールができれば十分だ」と眉間にシワを寄せてスマホショップの門をたたいた自分が思い浮かぶ。画面の文字が見えず『極大表示』に設定してもらい、LINEのスタンプに驚き、株アプリに挑み、音声アシスタントを小言ババアと勘違いし、電子マネーの音に飛び上がり……。

「ふふっ……あの頃の俺は、実に青かったな」

今や自分は、手首の相棒と連携し、電子マネーで買い物をこなすデジタル人間である。

そして、この一年間の自分の成長の陰には、常に一人の男の存在があった。

「鈴木店員……」

どんなに奇想天外なパニックを起こして駆け込んでも、彼はいつだって嫌な顔ひとつせず、笑顔で優しく道を示してくれた。

「真の男ならば、受けた恩をそのままにしておくわけにはいかん。今日で一年……鈴木くんに直接、感謝の意を伝えねばならん!」

そう決意した佐藤は、さっそく準備に取りかかった。

文明の利器を使いこなす男として、感謝の伝え方もスマートでなければならない。佐藤は電子マネー(PayPay)を握りしめ、近所の高級和菓子店へ向かった。

「鈴木くん! 居るか!」

いつものように堂々とスマホショップのドアを押し開ける佐藤。

カウンターにいた鈴木店員は、パッと顔を輝かせて駆け寄ってきた。

「佐藤様! いらっしゃいませ! 今日は相棒さんの調子はいかがですか?」

「うむ、相棒は昨晩も電気を腹いっぱい食ってすこぶる元気だ。……だが鈴木くん、今日はスマホの相談で来たのではない」

佐藤はビシッと背筋を伸ばし、鈴木店員の目を真っ直ぐに見つめた。

「今日で、俺がこのスマホを手に入れてからちょうど一年なのだ」

「えっ……! もう一年ですか!?」

「そうだ。一年前の今日、右も左も分からん俺に、君は根気強く寄り添ってくれた。君のおかげで、俺の味気なかった退職後の生活に、新しい風が吹き込んだのだよ」

佐藤は胸ポケットから、電子マネーで購入してきた高級な「極上羊羹ようかん」の箱を取り出し、両手で丁寧にカウンターへ置いた。

「これはほんの気持ちだ。もちろん、君に教えてもらった電子マネーでスマートに購入してきたぞ」

「さ、佐藤様……! こんな立派なものを……ありがとうございます!」

鈴木店員は胸を熱くし、深々と頭を下げた。

「僕の方こそ、感謝しているんです。佐藤様が毎回、真剣にスマホと向き合って、どんどん新しい機能を楽しんでくださるのが本当に嬉しくて……。佐藤様は僕にとって、自慢のお客様なんです!」

「ふっ……よせやい。照れるではないか」

佐藤は照れくさそうに鼻の頭をかくと、スマホの極大画面を開いて鈴木店員に見せた。

そこには、メモアプリに打ち込まれた、画面からはみ出さんばかりの『極大文字の手紙』が表示されていた。

【鈴木くんへ。一年間、本当にありがとう。これからも頼むぞ。佐藤】

鈴木店員は思わず吹き出し、そして心からの笑顔を浮かべた。

「はい! こちらこそ、二年目もよろしくお願いします、佐藤様!」

極大表示の画面に映る感謝の文字と、二人の温かい笑顔。

佐藤のスマホライフは、これからも新しい挑戦と共に続いていくのだった。

ちょっとここだけ休憩します。ネタ探し、、、

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