二人の名参謀と、報告
その帰り道、佐藤は足早にいつものスマホショップへと向かった。
自動ドアが開くと、鈴木店員がいつもの笑顔で出迎える。
「あ、佐藤様! こんにちは!」
佐藤は受付カウンターの椅子にどっかりと腰掛け、胸ポケットからスマホを取り出した。そして、あえて自慢げな顔で鈴木を見つめた。
「鈴木くん。実は今日、大手証券の窓口へ行ってきてな。『斎藤』という実に優秀な男に会ってきたのだよ」
「えっ、証券会社の窓口ですか!」
「うむ。アプリで顔の明るさが足りんと言われたのでな。斎藤くんが手際よく手続きをしてくれて、俺の資産は今日から『電磁金庫』で保管されることになった」
「電磁金庫! すごいですね! さすが佐藤様、セキュリティの意識が格段に高くなっていらっしゃいますね!」
鈴木店員は嫌な顔ひとつせず、心からの感嘆を込めて手を叩いた。
「ふっ……まあな。やはり本物の窓口の男は理屈が通っていて良い。鈴木くんも、もう少し『電磁』の勉強をするといいぞ」
「はい! 勉強させていただきます!」
満足そうに鼻の下を伸ばし、スマホを大切にポケットへ収めて去っていく佐藤。
その日の夕方、駅ビルのカフェ。
渡辺さんは鈴木くんから「電磁金庫」の話を聞かされて、アイスコーヒーを噴き出しそうになっていた。
「ちょっと鈴木くん! 今度は『斎藤さん』っていう新しい登場人物が出てきたの!?」
「そうなんですよ渡辺さん! 証券会社の窓口で顔の明るさが足りないって言ったらしくて。でも、その斎藤さんっていう担当者の方も素晴らしいフォローをされたみたいで、佐藤様は大満足で帰られましたよ」
渡辺さんはお腹を抱えて笑った。
「もう、あのおじさんどこへ行っても神対応の店員を引き寄せるわね! 斎藤さんも大変だったでしょうに……!」
「いいえ、佐藤様のあの真面目さ、絶対に斎藤さんにも伝わってますよ。これでアプリの画面を見るのがもっと楽しくなると良いですね」
二人は顔を見合わせ、佐藤さんの「電磁金庫」の無事な運用を祈って、楽しそうにグラスを傾けるのだった。




