【第三章】第二部分
メイド長は玲羅を連れて遼斗の部屋までやってきた。今は遼斗不在である。
両開きの木製のドアには、大王寺家のエンブレムである紫色のリンゴ形ノブがついている。それを捻ってドアを開くとまばゆい光で眼が眩んだ玲羅。
「これが遼斗の部屋?広いなんでものじゃないわ。これだと、バスケコート2つ分の体育館レベルの広さと高さがあるわ。」
部屋が異常なほどに明るい理由。それは全面が窓になっていることによる。窓に格子がなく、水族館の巨大水槽のように、光を遮るものがないからである。
「大王寺家の次期当主の部屋としては、これぐらいは当然です。日中は外から丸見えで、ひ●りエッ●がしづらいのが玉に瑕ですが。ニヒヒ。」
「な、何のことだかよくわからないわ。」
「サクランボのような顔になった玲羅さんはかわいいですよ。これがツインならもっと盛り上がるのですが。ニヒヒ。」
「へ、変なこと言わないでよ。机は卓球台並みの広さだわ。それに応接セット、書斎、喫茶コーナーまであるわね。ところで、部屋の奥近くにある、ガラス張りのコーナーは何?」
「いいところに目を付けられました。あそこは、通称、試しのガラスです。『大欲情』です。ニヒヒのヒ。」
「イヤらしい笑い方と表現だわ。いったい、ナニを試すのよ。」
「ほほう。カタカナ適用してるということは、すでにわかっていらっしゃるではありませんか。そう。王子が入浴する時のお世話係です。王子のあんなとこ、こんなとこ、そんなこと、そうなったところ、などをキレイにして差しあげるのです。」
「ちょっと、そうなったところって、どういう意味よ!」
「知りたいなら、この仕事をしっかりやっていただければいいのです。ニヒヒ。」
「こんなの、タダのセクハラじゃないの。」
「そうではありません。庶民には理解しがたいところがあるでしょうが、高貴な方の身の回りのお世話とはそういうものなのです。全身をくまなく見ることで、健康管理を行うという大切な任務も兼ねています。但し、ところによっては、物体に変化が生じる場合もありますので、ご注意してください。ニヒヒ。」
「何のことか、全然わからないわ。あたし、子供だから。あははは。はあ。ごくりんこ。」
盛大に唾を嚥下した玲羅。
「とりあえず、このメイド詰め所でお休みください。ここはお世話係のメイド用コーナです。」
メイド長は、ドアのすぐ右手のところで、茶色のパーテーションによって仕切られたコーナーを、指差した。
「普段はここで過ごせばいいのね。ここなら隔離されていて、一安心だわ。」
「そうですね。そう思って頂けてよかったです。せめてそれぐらいはないと、後が大変かもしれませんから。さあ、ではここでお待ちください。王子はすぐに来られますから、メイドとしてのサービスを展開してくださいませ。出血大サービスなんか、大歓迎ですから。二ヒヒ。」
「どんなキケンなサービスよ?」
「出血するようなサービスのことですが。二ヒヒ。」
「いったいどんなプレイよっ!」
「いえ、興奮し過ぎて鼻血が出ないように気を付けてくださいという意味です。それ以外に何か?もしかしたら乙女にはスゴくイタい体験でもしたいとか?二ヒヒ。」
「何言ってるのよ!出てけ!」




