第21話 出発
最近週1でも投稿できるか怪しくなってまいりました。
(カイン視点)
翌日、目覚めた俺は大きく伸びをしたあと、道具袋の中身を確認する。
といっても中に入っているのは油に火をつけるタイプのランプ、ナイフ、水数日分、ロープ、あとは金貨(この世界は金貨、銀貨、銅貨がお金)の入った袋、世界地図、地方別の地図、これくらいかな。
顔を洗って気を引き締めた後、メレンの部屋に向かう。
ドアをノックすると、
「はーい。」
という声。メレンがドアを開けた。既に着替えており、腰にボウガンとナイフ二本を装備し、右足のブーツにもナイフを仕込んでいる。メレンの道具袋にも俺と同じ物が入っているハズだ。
「おはよう。今日は早いな。」
「おはよう、なんか熟睡できなくて…………。」
まあ無理もない。俺も昨晩はなかなか寝付けなかった。
さて、王様に出発を伝えよう。
「では、そろそろ出発します。」
「そうか……………では、気をつけて行ってくるのだぞ。」
「はい。行って参ります。」
意外と簡単に済んだ。長々とした話とか面倒な儀式とかあるとか思ってたんだがそんなことはなかった。
俺達は城門をくぐり、城下町を歩いていく。
俺達二人は何も話さず歩いていく。メレンは緊張からか小刻みに震えているようにも見える。
俺だって全く不安じゃない訳ではない。むしろ猛烈に怖い。何が待っているかわからない。魔法や魔物がいる世界だ。指を鳴らすだけで人を殺せるような魔術師や神話にしか出てこないような怪物が出てくるかもしれない。そう考えると怖くて仕方がなかった。
と、その時、
「…………あははっ。」
突然メレンが笑いだした。大声で笑った訳ではないがクスクスといった感じでもない。
「………なんか葬式みたいに黙りこんじゃって…………カインも不安なんでしょ?」
「………あぁ。」
「私も…………怖くて仕方ないの…………何が出てくるのかわからないし…………私に何ができるのかもよくわからない。私より強い人なんて何人もいるのに、なんで私なんだろうって、思ったりして……………。」
……………俺と同じだ。
「でも、ここに来てしまったんだし、やれる事をやってみるつもり。私が選ばれたのなら、私にしかできない事もあるかもしれない。」
ここでメレンが一拍おいて続けた。
「それに、まだ何が起こるって決まった訳じゃないし、気楽に行こうよ。そんな辛い事ばかりじゃないかもしれない。」
それを聞いて、俺は思わず呟いた。
「羨ましいな………お前が。」
「え?」
メレンは呆気にとられたような様子だ。
「俺は………そんな風に前向きに考えられない。後ろ向きにしか考てなかった。俺にしかできない事とか考えた事すらなかった。」
「カイン……………。」
「でも、お前のおかげで、俺もなんか前向きになれた気がする。ありがとな。」
こいつを見ていると…………なんだかあいつを思い出すな…………いつでも前向きで、俺を元気にしてくれた…………。
…………メレンは………俺はどうなっても、メレンだけは、守ってやりたい…………いや、絶対に………守ってやる。
城下町の門をくぐりながら、そう俺は、心に誓った。