第42話
社会に出た。
働いた。
続けた。
問題はなかった。
家に戻った。
同じ場所で、
過ごした。
前とは違っていた。
荒れていなかった。
崩れてもいなかった。
それで、
十分だった。
家族を支えた。
必要なことをした。
金を入れた。
時間を使った。
それで、
回った。
その中で、
少しだけ満たされた。
理由は、
よくわからなかった。
でも、
あった。
内側は、
静かだった。
前にあったものは、
もうなかった。
泣いていたものも、
消えていた。
残っていたのは、
私自身だけだった。
それを使った。
それで、
問題はなかった。
何も持たない人間のふりをした。
そのまま、
続けた。
あるとき、
一人と会った。
優菜だった。
少しずれていた。
考え方も、
受け取り方も、
他とは違っていた。
でも、
壊れてはいなかった。
育った環境は、
普通だった。
それでも、
問題を抱えていた。
関わった。
話した。
そのまま見た。
自分と同じように、
壊れると思った。
でも、
違っていた。
理解しようとはしなかった。
共感もしなかった。
距離を保ったまま、
そのまま見ていた。
それでも、
離れなかった。
関係は、
続いた。
その中で、
変化があった。
優菜は、
影響を受けていた。
心を崩した。
それでも、
形は変わらなかった。
優菜は、
優菜のままだった。
そのまま、
受け入れていた。
理由は、
わからなかった。
でも、
続いた。
気づいたときには、
変わっていた。
ただの関係ではなかった。
特別だった。
かけがえのないものになっていた。
そのまま、
そうなっていた。
そして、
望んだ。
優菜と共にいることを、
望んでいた。




