第28話
同じ部屋に通った。
机と椅子だけの部屋だった。
何もなかった。
それでよかった。
何日か続けた。
同じように座って、
同じように帰った。
それで、
困らなかった。
ある日、
一人増えた。
男子だった。
少し離れた席に座った。
何も言わなかった。
目も合わせなかった。
それでよかった。
そのまま時間が過ぎた。
次の日も来た。
同じ場所に座った。
少しして、
短く話した。
友人と何かあったらしかった。
それ以上は、
何も言わなかった。
それでよかった。
そのあと、
また増えた。
女子が二人だった。
少しだけ離れて座った。
小さく話していた。
いじめられていたらしかった。
それで来ていた。
それでよかった。
少しして、
もう一人増えた。
女子だった。
教室にはまだ行っているらしかった。
でも、
ここにも来ていた。
顔をあまり上げなかった。
それでよかった。
そのまま時間が過ぎた。
誰も、
無理に話さなかった。
それでよかった。
同じ部屋にいた。
それだけだった。
それでよかった。
いつの間にか、
同じ考えを持っていた。
高校に行けば、
終わると思っていた。
それでよかった。
みんなで、
少しだけ勉強した。
同じ机に集まった。
問題を開いた。
でも、
長くは続かなかった。
気づくと、
話していた。
少しずつ、
雑談が増えた。
それでよかった。
話していると、
少しだけ軽くなった。
何かが、
剥がれるようだった。
残っていたものが、
少しずつ落ちていった。
理由は、
よくわからなかった。
でも、
そうなった。
それでよかった。
一人ではなかった。
それだけだった。
それでよかった。




