第25話
同じ場所に通った。
同じ時間に行って、
同じことをした。
箱を持つ。
分ける。
置く。
それを繰り返した。
難しくはなかった。
言われた通りにやれば、
問題はなかった。
それで、
金がもらえた。
それでよかった。
最初に聞かれたことは、
年齢だった。
少しだけ考えて、
上に言った。
理由は、
よくわからなかった。
その方がいいと思った。
それで問題はなかった。
そのまま通った。
何も言われなかった。
それでよかった。
名前も聞かれた。
前に使ったものを言った。
それで問題はなかった。
そのまま通った。
誰も気にしていなかった。
それでよかった。
それだけだった。
言われた通りに動く。
余計なことはしない。
間違えないようにする。
それだけを続けた。
それで、
うまくいった。
少しずつ、
覚えることが増えた。
どこに何があるか。
どの順番で動くか。
誰が何をしているか。
見ていれば、
わかった。
その通りに動いた。
それで、
困らなかった。
それでよかった。
それだけだった。
外でのことも、
そのまま続けた。
人を見た。
様子を見た。
言葉を選んだ。
それで、
うまくいった。
困らなかった。
それでよかった。
何もしていないときでも、
中で何かが言っていた。
前よりも、
強くなっていた。
やめろと、
繰り返していた。
止まらなかった。
でも、
作業をしている間だけ、
少しだけ静かになった。
何も聞こえなかった。
それでよかった。
その時間だけは、
考えなくて済んだ。
ある日、
ふと考えた。
本当の名前を、
思い出さなかった。
少しだけ考えて、
やめた。
必要はなかった。
それで問題はなかった。
それでよかった。
それだけだった。




