第24話
同じことを続けていた。
人から取る。
それで、
困らなかった。
あるとき、
相手が声を出した。
小さな声だった。
でも、
はっきり聞こえた。
少しだけ止まった。
そのまま、
相手を見た。
何も言わなかった。
少しだけ考えた。
そのまま、
一歩近づいた。
相手は、
動かなかった。
そのまま、
言葉を出した。
何を言ったかは、
よく覚えていない。
でも、
相手は黙った。
それで、
終わった。
そのまま離れた。
少しして、
考えた。
取るだけじゃなくてもいいと思った。
黙らせればいいと思った。
その方が、
間違えなかった。
それからは、
少し変えた。
先に話した。
止めた。
見た。
相手の様子を見た。
それで、
うまくいった。
何度か繰り返した。
困らなかった。
それでよかった。
それだけだった。
名前を聞かれることがあった。
適当に答えた。
その場で思いついた名前を言った。
本当の名前は、
言わなかった。
言う必要はないと思った。
それで問題はなかった。
外にいる時間は、
そのままだった。
歩いていると、
募集の紙が目に入った。
短い時間でもいいと書いてあった。
内容は、
荷物の仕分けだった。
それだけだった。
少しだけ考えて、
そのまま行った。
言われた通りに動いた。
箱を持つ。
分ける。
置く。
それを繰り返した。
難しくはなかった。
それで、
金がもらえた。
最初は、
少しだけだった。
でも、
困らなかった。
それでよかった。
それだけだった。
そのあとも、
同じ場所に行った。
同じことをした。
言われた通りに動いた。
それで、
金がもらえた。
食べることに困らなくなった。
それでよかった。
何もしていないときでも、
中で何かが言っていた。
やめろと、
言っていた。
でも、
少しだけ、
小さくなっていた。
そのまま、
作業を続けた。
それでよかった。
ある日、
鏡を見た。
久しぶりだった。
そこにいたのは、
知らない顔だった。
黒い髪の中に、
白いものが増えていた。
気づいたときには、
ほとんどが白くなっていた。
老人みたいだと思った。
でも、
それでよかった。
それだけだった。




