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それでも生きる。怪物のまま  作者: 介入者


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第20話

中学生になってから、


最初に決めたことがあった。


目立たないようにすることだった。


小学生のときと、


あまり変わらなかった。


でも、


少しだけ違っていた。


何もしないだけじゃ、


足りない気がした。


ちゃんとしていないと、


いけない気がした。


忘れ物をしない。


遅れない。


言われたことは、


そのままやる。


それを続けた。


最初は、


少しだけうまくいかなかった。


でも、


続けているうちに、


だんだん崩れなくなった。


先生に呼ばれることもなくなった。


注意されることもなくなった。


それでいいと思った。


その方が、


何も起きない気がした。


ある日、


少しだけ褒められた。


提出物が揃っていること。


授業をちゃんと聞いていること。


それだけだった。


でも、


悪くないと思った。


そのとき、


少しだけ考えた。


――こうしていればいいんだ。


そのあとから、


同じようにした。


間違えないようにした。


崩れないようにした。


それを続けた。


何も起きなかった。


それでいいと思った。


何も起きないことが、


一番だった。


ある日、


後ろの方で声がした。


小さな声だった。


でも、


はっきり聞こえた。


「なんか、臭くない?」


誰かが笑った。


別の誰かが、


小さく同じことを言った。


僕は、


動かなかった。


振り向かなかった。


聞こえていないみたいにした。


そのまま、


前を見ていた。


少しだけ時間が過ぎて、


声は止まった。


授業は続いた。


それだけだった。


でも、


それで十分だった。


理由は、


もうわかっていた。


自分のことだった。


その日から、


少しだけ変わった。


前よりも、


距離がはっきりした。


近くに人はいた。


でも、


近づかれなかった。


席も、


前より少し離れた。


誰も何も言わなかった。


でも、


わかっていた。


それでいいと思った。


その方が、


何も起きない気がした。


家では、


変わらなかった。


風呂には、


あまり入らなかった。


入れない日が多かった。


それが普通だった。


変える方法は、


よくわからなかった。


学校では、


何も言わなかった。


誰にも言わなかった。


言っても、


どうにもならない気がした。


だから、


そのままにした。


その代わりに、


もっとちゃんとした。


忘れ物をしない。


遅れない。


言われたことは、


全部やる。


間違えないようにする。


それだけを続けた。


それなら、


文句は言われなかった。


それでいいと思った。


それで、


少しだけ楽だった。


でも、


中は変わらなかった。


何もしていないときでも、


中で何かが叫んでいた。


消えなかった。


それでも、


外には出さなかった。


出さない方がいいと、


わかっていた。


だから、


そのままにした。


その代わりに、


外側を整えた。


崩れないようにした。


間違えないようにした。


そうしているうちに、


一つ気づいた。


これは、


自分じゃない気がした。


でも、


それでいいと思った。


これで、


何も起きないなら、


それでいいと思った。


そのまま続けた。


それが、


そのときの正解だった。


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