マッスルの頂を目指せ!
合宿も三日目を迎えた朝、コウスケと仲間たちは筋肉痛に苛まれながらも目を覚ました。昨日のドロップセットによる激しいトレーニングの疲労が、全身に広がっている。しかし、ラムタキ校長の言葉がコウスケの頭の中で何度もリピートしていた。「追い込むことこそ真のトレーニーだ」。その言葉が、疲れを乗り越える力となっていた。
この日は、山での体力トレーニングがメインのプログラムだった。筋肉山の急斜面を駆け上がり、山頂にある「マッスルの頂」を目指すというものだ。しかも順位に応じて今夜の夕食が決まるというのだ。朝のミーティングで、ラムタキ校長が全員に説明をする。
「今日の課題は、筋肉の持久力と体力の限界を試すことだ。筋力を鍛えるだけでは不十分。鍛え上げた筋肉を最大限に使い続けるための持久力が必要だ。君たちはこの山を駆け上がり、全身のエネルギーを使い切ってこい。」
その言葉に全員が緊張を走らせた。この山は、ただの山道ではない。途中には巨大な岩を持ち上げるポイントや、腕立て伏せをしなければならない区間が存在する「筋肉の試練」として知られている。
コウスケの班はタクミ、ナオミ、アクト、レブログの5人で挑むことになった。彼らはそれぞれの得意分野を活かして、チームワークで山を攻略しようと決意した。
スタートの合図とともに、全員が走り出した。序盤はまだ余裕があり、ナオミが軽快に走りながら「さあ、どんどん行くぜ!」と声をかける。タクミは安定したペースで山道を駆け上がり、アクトとレブログは互いに軽口を叩きながらも集中して進んでいた。
しかし、次第に道は険しくなり、巨大な岩が立ちはだかった。「ここだ!岩を持ち上げて次のポイントに進むぞ!」とタクミが叫ぶ。岩の重量はかなりのものだったが、アクトとレブログが先に手をかけた。彼らの筋力と巧みな動きで、岩はゆっくりと持ち上がった。続いてタクミとコウスケも加わり、全員で力を合わせてその障害を乗り越える。
次の難関は、腕立て伏せを50回こなさなければ進めない「腕立てゾーン」だった。コウスケは腕立てが得意ではなかったが、ここで諦めるわけにはいかない。彼は限界まで力を振り絞り、必死に腕立てを続けた。周りの仲間たちも励まし合いながら、それぞれのペースで腕立てを終わらせる。
最後の難関は、山頂に向かう急斜面だ。ここは足腰に強烈な負荷がかかる区間であり、スタミナが試される場でもある。ナオミが先陣を切って駆け上がり、タクミ、アクト、レブログがそれに続いた。コウスケは、筋肉の疲労を感じながらも互いに支え合いながら進んでいく。
山頂が見え始めた時、コウスケは自分の体が限界に近いことを感じていた。足は重く、呼吸も乱れていた。しかし、彼は心の中で「ここで止まるわけにはいかない」と自分を鼓舞し、最後の力を振り絞って走り続けた。
そしてついに、班全員で「マッスルの頂」に到達した。息を切らし、全員が地面に倒れ込んだが、その顔には達成感が溢れていた。
頂上に待っていたのは、ラムタキ校長だった。彼は静かに全員を見下ろしながら言った。「よくやった。君たちが1番最初にここへたどり着いた。今日の試練を乗り越えた君たちは、肉体だけでなく精神も強化されたはずだ。筋肉は限界を超えて初めて成長する。それは心も同じだ。」
コウスケはその言葉を胸に刻み込みながら、自分がまた一歩成長したことを実感していた。この合宿は、ただの体力強化ではなく、精神力とチームワークをも試されるものだったのだ。
こうして合宿三日目が終わり、コウスケたちはさらなる成長を遂げた。筋トレの旅はまだまだ続くが、彼らは確実に一歩ずつ進んでいるのだった。