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メイド・アンドロイド唯  作者: 天井みかん
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4/9

衝撃、二度目 <次>

とりあえず、一気に書きましたが……これからちょっとペースが落ちるかもです。

「やめろよ、はなせよ、やめてくれよ~」

8歳だった牧野は、彼の祖母にベッドの中へ引き込まれていた。

「ぼくはたすけなくちゃ、おじいちゃんを!」

アメリカ、テキサス州の祖父母の家に、ギャングが押し入ったのだ。どうやら、抗争に巻き込まれたらしい。

「だめよ、まきちゃん、殺されちゃうわ!!」

祖母は必死に抱きとめようとしたが、少年は飛び出した。その時、

「あ……」

そこには、祖父の姿があった。額から血を流し、物言わぬ亡骸となった祖父が。

その時、拳銃が鳴る。ばたりと人が、いや、人だったものが倒れた音がした。少年をかばった祖母だった。

何かが爆発する音がする。隣の自家用水上機に、火が付いた音だった。毎年これをトラックに乗せ、近くの湖に出かけたものだ。小学生の時に初めて乗せてもらい、祖父は離水、飛行、着水と、基本的な操縦技術を身に着けさせてくれた。

 あまりのショックに思考が停止し、音も光も感じることができなくなった少年の体が舞う。燃料タンクに引火、誘爆し、家が吹き飛んだのだった。不思議に少年は助かり、ギャングは全員吹き飛んだ。その後も声が出せない日々が続いたが、アメリカのカウンセラーによる治療を受けても無駄だった。ほかの州で仕事をしていた両親に会って初めて涙を流したのだった。

 その時の拳銃の形を牧野はすぐに連想し、少年を倉庫に押し込んだのだ。光が細くなり、やがて倉庫内から消えたとき、牧野は彼を殴り、問い詰めた。

「言え! これはなんだ!」

「拳銃だよ」

その答えに拍子抜けし、そしてさらに増幅された怒りが彼の脳内に広がっていく。

「なんのために持ってた、何のために! 人を殺す道具なんだぞ! これの弾が当たったら、一瞬でなにも考えられなくなるんだぞ! 人生が終わるんだぞ! わかってんのか!」

自分が叫んだというより、自分以外の誰かが言っているようだった。それをどこかから観測しているような感覚。

「お前を殺すためだ」

 その一言が妙に冷たくて、腹の中から冷たい手に撫ぜられたような気がして、突如恐怖が着きあがってきた。我に返った俺は体を先ほどの誰かから取戻し、後ずさりする。

 その瞬間、その恐怖が形になって倉庫の外に落ちた音がした。爆発音。

「なんだ!?」

飛び出す。そこには、校舎跡があった。ついさっきまで存在していた校舎の跡だ。壁を残してに崩壊していた。なぜ?そんなのはわからない。さらにかちゃりとハンマーを下す音が、彼を凍りつかせた。

 今度は自衛のために、倉庫へ押し込んだ。棚から箱が落ちて、彼の頭にぶつかる。意識が途絶え……ることは免れた。その箱には、陸上学部アンドロイド系機材と書かれている。となりに丸に秘の文字が入った記号。無我夢中でなかにある尖ったアイスピックのようなものを、彼の手に刺した。

 一瞬目を見開いた後彼の体が痙攣し、完全に動きが止まった。血が出ていないことに気付いたのは、数瞬間後。なんで?ピックの柄には、こう書かれていた。「MAID-i SYSTEMインストール用ピック 対アンドロイド用 使用時には痙攣を伴う」アンドロイド、あんどろいど、ANDROID。機械?こいつが?まさか。でも痙攣したぞ?やっぱりそうなのか?


「まきのおおお! 早くこおおおい!」

文豪が叫ぶ。全力で。

 彼があの倉庫に入ってから数分。空から死の落下物が落ちてきたのが、それぐらいのころだった。何が何だかわからないまま爆風を感じ、とっさに姫をかばいつつ一緒に飛ばされた。

 次に目を開けたとき、校舎が壁を残し、崩壊していた。彼が小学校の時呼んだとある文献によると、爆撃の跡はこのようになっていることが多いということだったが、爆撃がこんなところで起こるとは思えなかった。しかし、爆音の後飛翔してきた日の丸の戦闘機と、それに追撃される見たことのない戦闘爆撃機を見て、その可能性は彼の中で急速に現実味を帯びてきた。

「まさか……嘘だろう?」

そして姫をおぶって爆炎から逃げ、現在に至る。

煙と悔しさで涙を流しながら、顔をぐしゃぐしゃにしながら叫ぶ。

「まきのおおお! まーきのおおおお!」

牧野さえ帰ってきてくれればすべてが元通りになる気がして、校舎で一緒に殺されたみんなも生き返る気がして、無我夢中で叫ぶ。

その上空では、自衛隊機に追われた戦闘機がミサイルをジグザグ機動、シザーズで回避し、またループに転じているところだった。しかし、彼には敵も味方も、雑音を振りまいて邪魔をするものとしか感じられなかった。

「ばかやろおおお!」

最後に大きく文豪は叫び、膝を折って泣き始めた。

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