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辺境ギルドの何でも屋になったら、なぜか伝説扱いされてます~追放された鑑定士、噂話を聞き流せないだけなんですが~  作者: わがままな饅頭


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第22話 剣士と元勇者

ミーシャがラステイルに移ってきてから、しばらく経ったある日。


ガレオンが、再び、ラステイルを訪れた。


「レイン、ちょっと、顔を出しに来た」


「ガレオンさん。今日は、何の用事ですか」


「特に用事はない。ただ、お前と、ミーシャの様子を、見に来たかった」


ガレオンは、以前よりも、随分、柔らかい表情をしていた。


「ミーシャは、元気そうだな」


「ええ。この街での生活を、すごく楽しんでいるみたいです」


「それは、よかった」



ちょうどその時、フィンが、剣の手入れをしながら、こちらに気づいた。


「あ、ガレオンさん、お久しぶりです」


「フィン、だったな。お前の話、レインから、よく聞いている」


「えっ、俺のことも、話してるんですか」


フィンが、少し驚いた様子で、聞いた。


「ああ。お前が、レインの指示なしで、一人で魔物に対処した話とか、色々」


「それは、ちょっと、恥ずかしいです」


フィンが、頭をかきながら、苦笑いした。


「いや、立派なことだと思う。俺は、レインに頼りすぎて、自分で考えることを、忘れていた時期があった」


ガレオンの言葉に、フィンは、少し驚いた表情を見せた。


「ガレオンさんも、そういう経験、あるんですか」


「ある。だから、お前が、自分で考えて、自分で立てるようになってるのは、本当に、いいことだと思う」



「ガレオンさん、よかったら、少し、剣の稽古、付き合ってもらえませんか」


フィンが、思い切って、聞いてみた。


「俺と?」


「はい。元勇者パーティのリーダーの剣、一度、見てみたいです」


ガレオンは、少し考えてから、頷いた。


「いいだろう。手加減はしないが、それでいいか」


「もちろんです!」



ギルドの裏庭で、フィンとガレオンは、模擬戦を始めた。


俺は、その様子を、少し離れた場所から見ていた。


『フィンの動き

 以前と比較して、判断速度、明らかに向上

 ただし、経験の差は、依然として大きい』


ガレオンの剣は、フィンよりも、明らかに、洗練されていた。


それでも、フィンは、何度も、粘り強く、対応していた。


「……ふっ」


しばらくして、ガレオンが、フィンの剣を、軽く弾いて、模擬戦は終わった。


「お前、思っていたより、ずっと、いい動きをする」


ガレオンが、息を整えながら、そう言った。


「本当ですか!」


「ああ。基礎が、しっかりしている。誰に教わったんだ?」


「自分で、独学です。レインさんに、危険を教えてもらいながら、実戦で、覚えていきました」


「実戦経験が、お前を、強くしてるんだな」


ガレオンは、少し感心した様子で、頷いた。



「レイン、お前の周りには、本当に、いい人材が、揃ってるな」


ガレオンが、俺の方を見て、そう言った。


「俺一人の力では、何も、成し得ません。皆さんがいてくれるからです」


「それを、ちゃんと、分かってるところが、お前らしいな」


ガレオンは、小さく笑った。


「俺も、最近、ようやく、それを学んだ。一人で、全部、抱え込もうとするのは、結局、誰も幸せにしない」


「クレアさんとは、上手くやっていますか」


「ああ。彼女の言葉を、ちゃんと聞くようにしている。お前との経験が、無駄じゃなかったと、思えてる」


ガレオンの言葉に、俺は、深く、頷いた。



「フィン、これから、強くなったら、何をしたいんだ」


ガレオンが、ふと、フィンに聞いた。


「俺、いつか、レインさんと、対等な仲間として、もっと大きな依頼を、一緒に受けたいです」


「いい目標だ。お前なら、きっと、できるようになる」


「ありがとうございます!」


フィンは、嬉しそうに、頷いた。


「レイン、お前は、これから、どうしたいんだ」


ガレオンが、今度は、俺に聞いた。


「俺は、ここで、このギルドの皆と、一緒に、やっていきたいです。今、それが、自分にとって、一番、大事なことです」


「そうか。それなら、それが、お前にとっての、答えなんだろう」


ガレオンは、満足そうに、頷いた。



「今日は、いい時間を、過ごせた。また、来てもいいか」


「もちろんです。いつでも、歓迎します」


「ありがとうな、レイン」


ガレオンは、それだけ言って、王都へと、帰る準備を始めた。


「フィン、お前も、頑張れ。今日の剣、悪くなかった」


「ありがとうございます! また、稽古、付き合ってください!」


「いいだろう。次は、もっと、厳しくする」


ガレオンは、そう言って、少し笑った。


それは、以前の彼からは、想像できないほど、柔らかい表情だった。



その夜、俺は、フィンと一緒に、ギルドの食堂で、夕食を取っていた。


「レインさん、ガレオンさんと、剣の稽古できて、本当に、嬉しかったです」


「フィンさんの剣、すごく、成長していると思います。ガレオンさんも、認めていました」


「本当に、嬉しいです!」


フィンは、満面の笑みで、そう言った。


「レインさん、王都の人たちと、こうして、また、繋がりが、できてきましたね」


「ええ。最初は、想像していませんでした」


「俺、それも、すごくいいことだと思います。過去のことを、全部、切り捨てるんじゃなくて、ちゃんと、繋げていく感じ」


フィンの言葉に、俺は、深く、頷いた。


——王都での過去も、今のラステイルでの日々も、全てが、自分の人生の、繋がった一部だった。


それを、改めて、実感できた、いい一日だった。


夕暮れのギルドの裏庭に、二人分の、長い影が、静かに伸びていた。

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