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異世界土方建築無双 ~女神の加護? いらねえよ、俺にはコンクリがある~  作者: ぶらっくそーど
第三部 世界の親方

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親方、五つの国の技術を一つにする


 あと六週間。四十二日。


 シェルターの骨組みが立ち上がった。鉄のトラス屋根と日干し煉瓦のアーチ壁。ナディアが提案したハイブリッド構造。地面に描いた図面が、実物になっていく。


 だが——人手が足りねえ。


 トラス部材の組み立て、アーチ壁の積み上げ、消波ブロックの量産、免震支承の据え付け、地下シェルターの仕上げ。全部同時に進めなきゃならねえのに、腕が足りねえ。


 その朝、港に船が入ってきた。


「親方ーー!! 船だ!! レグニカからじゃねえぞ!!」


 カーラが高台から叫んだ。


 甲板に、見覚えのある顔が立ってた。


 白い髭。門みたいな肩幅。石を舐める癖。


「——ヴァルター!?」


「棟方ッ!! 来てやったぞ!!」


 ヴァルターが弟子の石工を十人連れてきた。帝国のゲルハルト将軍が手配した軍船で、アルヴェインまで来やがった。


「お前が海の向こうで大陸竜と戦うと聞いた。石工が要るだろう」


「要る。めちゃくちゃ要る。——よく来てくれた」


「儂の壁は百年持つ。儂の弟子の壁も百年持つ。——使え」


 帝国の石工が上陸した。全員、ブロック工法と床暖房を習得済みだ。即戦力。


 翌日。もう一隻。


 エルフの森から、フィーアが若い衆を五人連れてきた。


「親方ッ!! 俺たちも手伝う!!」


「お前ら、森は誰が守ってるんだ」


「残りの連中が守ってる! 長老が『行ってこい』って!」


 シルヴァナが送り出したのか。フィーアたちは高所作業のプロだ。トラスの組み立ては高い場所での作業が多い。こいつらの身体能力があれば作業速度が倍になる。


 さらに翌日。


 ドワーフのドルクが、鍛冶師を三人連れて山を越えてきた。


「ルッカから精霊の交信で聞いた。鍛造が追いつかねえとな。——手伝いに来た」


「伯父さん……!!」


 ルッカが走っていった。ドルクがルッカの頭をぽんと叩いた。


「泣くな。仕事をしに来たんだ」


「泣いてません……!」


「泣いてるぞ」


 俺とガルドの定番を奪われた。


 帝国の石工十人。エルフの高所作業員六人。ドワーフの鍛冶師四人。アルヴェインの職人百人。棟方組六人。イレーネ。ナディア。


 全部で百三十人近い。


「棟方殿!! 全員の配置を決めましょう!! 仕様書を各言語版で配ります!!」


 イレーネとエルノが走り回ってる。帝国語、レグニカ語、エルフ語、ドワーフの共通語、アルヴェイン語——五カ国語の仕様書を持って。


 こいつらが仕様書を作り続けてくれたおかげで、初対面の職人同士でも図面と手順書があれば仕事ができる。言葉が通じなくても、図面は通じる。


「配置を決めるぞ。——ヴァルター。帝国の石工はシェルターの外壁補強を頼む。耐熱コンクリートの吹付けができるのはあんたらだけだ」


「任せろ」


「フィーア。エルフはトラス屋根の組み立てだ。高さ十五メートルでの接合作業。お前らの独壇場だ」


「おう!! 任せろ親方!!」


「ドルク。ドワーフはロックボルトと金具の鍛造。ルッカの鍛冶チームと合流してくれ」


「ああ、姪の指揮下に入る。——文句はねえ」


「ガルド。消波ブロック、あと何個残ってる」


「二百三十個!! あと四週間で終わらせる!!」


「ナディア。アーチ壁の進捗は」


「七割完了です。あと三週間で全周を閉じます」


「エルノ。全工程のスケジュールを出してくれ。クリティカルパスはどこだ」


「トラス屋根の接合です。部材は揃っていますが、高所作業の人手がボトルネックでした。——エルフの合流で解消されます。全工程、六週間で完了可能です」


「六週間。大陸竜の到達予想と同じだ。余裕はゼロ。——だがやれる」


 全員を見渡した。


 レグニカのコンクリート。帝国の石工精度。エルフの高所技術。ドワーフの鍛造。アルヴェインのアーチ壁。五つの国の技術が一つの建物に集まってる。


「いいか。全員聞け。——出し惜しみはしねえ。俺が持ってる技術は全部、この建物にぶち込む。コンクリート、鉄筋、ブロック、免震、トラス、ロックボルト、消波ブロック、地下シェルター——全部入りだ。お前らの技術も全部入れろ。帝国の石工も、エルフの足場も、ドワーフの鉄も、アルヴェインのアーチも。全部入れて、全部合わせて、大陸竜に負けねえ建物を作る。——行くぞ!」


 百三十人の拳が上がった。


「「「おう!!!」」」


 五カ国の声が一つになった。


 ナディアが俺の横に立ってる。泣いてねえ。笑ってる。


「棟方さん。私——七回建て直してきましたけど、こんなに大勢で建てるのは初めてです」


「八回目は壊されねえ。——一緒に建てるぞ」


「はい」


 六週間。四十二日。一日も無駄にはしねえ。


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