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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第140話 定期公演#11 その4~かえでくんの1番にしてくれますか……?

 レイがボクの手を取って懇願してくる。

 その表情はとても険しく、眉間にしわが寄っていた。


「わたしを最推しに……してくれますか……?」


 アイドルになったレイをボクの最推しに――。


「わたしをかえでくんの1番にしてくれますか……?」


 ボクはなんて答えたら……。


 ボクが答えあぐねていると、レイの表情が一変した。

 それまでの厳しく泣きそうな表情から一転、花が咲くような笑顔へ。


「かえでくんはやさしいですね。わたしのために悩んでくれてありがとうございます。今は答えなくて大丈夫です。もし、かえでくんがわたしのことを『最推しにする』と言ってくる日が来たなら、その時にはわたしもアイドルになってみようと思います」


 それは……。

 レイがアイドルになるかどうかは、ボク次第ということ……。


 でもボクはメイメイのために生まれてきたわけで……。レイを最推しにするということは……最推しが2人? そんなことが許されるのか……。最も推す……いや、やっぱり2人は違うよね。考えただけで脳がバクりそうになったということは、ボクの中で最推しは1人しか定義できないということだ。


 ボクの最推しにしなければ、レイはアイドルになってくれない。

 ボクがメイメイのことを最推しにしない未来があるか? たぶんそんな未来はなくて、もしそうなったらボクは自己矛盾を抱えて消えてなくなるんじゃないかな。


 ボクがメイメイのために生まれてきた存在である以上、それ以外のあらゆることは二の次になる。つまり最優先から外れるということ。


 レイの想いに応えられない自分が不甲斐ない……。


「大丈夫です。わたしはそんなかえでくんが大好きなんです」


「……どんな」


 情けない? 優柔不断? 思わせ振り?


「自分の気持ちにうそをつかないところです」


「それは……ボクがウソを吐いてもどうせレイには心を読まれちゃうし?」


 取り繕うだけ無駄というか。


「いいえ、かえでくんは誰に対してもウソを吐かない人です」


 まあねえ、いろいろな手段でボクの思考やら記憶やらにアクセスしてくる人たちがわんさかいますからね……。なんかこう、ボクにプライバシーとかはないじゃない? 本音でぶつかるしか手段がないんだよね。


「それでもやさしいかえでくんが好きです」


「ありがとう。ボクもレイが好き」


 レイがいたから、ボクはみんなの前でウソを吐かずにやって来れているんだと思うんだ。最推しとは違うけれど、レイのことはすごく好き。


「それではさつきさんを最推しにしたまま、わたしと遠くに逃げましょう」


「えっ?」


 レイが再びボクの手を握ってくる。

 今度は強く。


「かけおちです。どこか遠くで、2人だけで暮らしましょう」


「いや、それは……」


 急すぎるというかなんというか。


「ライブの度にさつきさんを応援しにくれば良いのです」


「いや……それはちょっと……」


 働かないとお金の心配とか。ライブのチケットも買えないし……。


「わたしは副業でいっぱい稼いでいるので、かえでくんの5人や10人を1000年くらい養うのは簡単なことです」


 稼ぎすぎでは?

 まさかマキから本気でお金を巻き上げているんじゃ。


「まきさんだけに巻き上げる」


「駄洒落じゃないから……」


 懸念はそれだけじゃないよね。


「お金は大丈夫でも、ボクの体は麻里さんのところで定期的にメンテナンスしないと……」


「師匠には出張デリバリーサービスを依頼します」


「それを依頼したら、居場所がバレていることになるのでは?」


 かけおちとは。


「師匠が本気を出したら、日本にいようが火星にいようが居場所は特定されます。最初から住所を渡しておいたほうが無難です」


「まあ、そうね……。そういう人だよね……」


「出張デリバリーサービスといっても、エッチなサービスではないので期待してはダメです」


「まったくしてませんけど……?」


 麻里さんにエッチなサービスをされるくらいなら、自らシャットダウンしたほうが心の安定を保てるわ。


「そっちのサービスはわたしにおまかせください」


 反応に困る……。

 頼めばホントにサービスしてくれそうなだけに……。


「かけおちして夫婦となった暁には、今のところ封印している過激な裏オプションも利用可能になります」


「だから裏オプションとか言い出すと、急にいかがわしいお店感が出てくるんだよね……」


 そういうのは求めていないというか……。


「子どもは何人にしましょうか」


「えっ」


 それは無理なのでは……。


 いや、その顔は何……。

 このタイミングで「わたしに不可能はありません」的な笑顔は怖いよ?


『あなたたち……そろそろ中学生の妄想みたいなラブコメをやめて仕事に集中してくれないかしら……? その口を捻じ切って、足かせをはめて逃げられないようにしてから、耳をペロペロするわよ』


 うわっ、ウタに聞かれていた⁉


『ウタちゃん、最後ちょっと自分の願望が入ってしもうってるやんか。それにな~、カエちんはうちと駆け落ちすることに決まってるしな~』


 シオセンセ、それは初耳ですよ?


『今度2人きりで大阪に行って、こなもん食い倒れツアーしような~』


 それはただのグルメ旅行では。


『わ、私はヨーロッパ古城を巡る旅で吸血姫としての力を開放して――』


 あー、はいはい。

 妄想旅行の計画は定期公演が終わった後に、各自存分にお願いしますねー。


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