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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第137話 定期公演#11 その1~人としてどうかと思う

 定期公演#11が始まる。

 場所は代々森第一体育館。今回はお客さんを入れてのライブになる。


 定期公演全12回のうち、10回すべてが無観客で行われてきた。

 AIの観客たちをバーチャル投影して招待はしていたけれど、≪初夏≫のみんなが生身の人間相手にライブをするのはいつ振りだろうか。

 もしかして、1stシングル発売記念のミニライブまで遡るのでは?


 なんかこれ……だいじょうぶなのかな? みんな人前で歌って踊れる?


「かえでくん、心配し過ぎです。ライブ自体はひさしぶりかもしれませんが、舞台あいさつやBlu-ray発売記念イベントなど、生のお客様と触れ合う機会はたくさんありましたし、問題ないと思います」


「あー、そうね。たしかに……って納得しかけたけど、そのイベントでお客さんと触れ合っていたのってボクだよね? まあ、『朝西』関連ならハルルもいるか……」


 ≪初夏≫はグループとしてのメディア露出って実はあんまりないんだよね。

 雑誌のインタビューや音楽番組で歌ったりすることはあるけれど、たくさんのお客さんの前で何かをしているわけじゃないもんなあ。


 あとはみんなそれぞれの個人活動って感じで、舞台や写真集のお渡し会なんかはあるけれど、そこでは歌は歌わないもんね。

 しまったなあ。せめてメイメイには、『ゲリラ雷雨』で公開生配信か何かをやって、歌を歌う経験をさせてあげれば良かった。


「かえでくんは、今朝のみなさんの様子を注意深く見ていましたか?」


「んんー、見ていたとは思うけれどー」


「1番落ち着きがなくて、1番緊張しているのはかえでくんですよ。みなさん、堂々としたものです。もっとわたしたちのアイドルを信じてあげてください」


 うぅ、なんかごめん。

 ボクが足を引っ張っていたみたいだね。ユエユエのところで自信を取り戻した気持ちでいたのになあ。


「かえでくんの鼻に汚れがついているようです。拭いておきますね」


 レイがハンカチを取り出し、ボクの鼻をゴシゴシとこすり始めた。


「いや、もう許して? レイがずっと鼻ばかり触るから、めっちゃ赤くなっているからね?」


 ユエユエにキスされたのがそんなに気に食わなかったのか……。

 レイってば、ユエユエに対してなんか妙に対抗意識があるもんなあ。向こうはその気はなさそうなのに。


「わたしが気に食わなかったのは、かえでくんの告白シーンもそうです」


「あれは告白ではないんだけどな……」


 たしかに「好き」とは言ったけれど、恋愛的な意味ではなくて……友愛フィリアか、家族愛ストルゲーか。とにかく、ユエユエに寄り添いたいなって思ったんだよ。


「かえでくんは、みつきさんのマネージャーになりたいんですか?」


 レイの紫紺色の瞳がギラリと輝いた。

 ボクの心の内は見えているはずなのに、それでもあえて質問をしてきている、ということか。言葉にしろ、と。


「正直わからない! もしボクが2人いたら、ユエユエのマネージャーになりたいって即答すると思う! でも、ボクは1人しかいないから、それは無理なんだと思う。本気で活動するメイメイと、本気で活動するユエユエの2人に寄り添うのはボクのキャパを超えると思うし」


 言葉にしました!

 これで許していただけるでしょうか⁉


「かえでくんは『KAEDE-SAGA』のプレイ中にもきちんとマネージャー業をこなしていました。あの形で、睡眠中に記憶を統合することで、並行稼働が可能になると思います。それを前提にした場合、みつきさんのマネージャーをすることが不可能、という結論には至らないわけですが、かえでくんはどうしたいですか?」


 今日のレイは、妙に厳しく突っ込んでくるなあ。


「その前提はさ、人としてどうかと思うんだよね……。可能か不可能かだけで判断して良い問題なのかなと思ったり思わなかっ……なんかごめん」


「いいえ。わたしはわたしなので気にしていません」


 なんかすごくごめん……。

 当たり前のように並行稼働しているレイのことを便利屋みたいに使っておきながら、「人としてどうかと思う」なんて……。ボクって最低だな……。


「わたしはこれでも人ですし、ほかの人にはできないことができて、そのおかげでかえでくんの役に立てているので、自分を誇らしく思っているくらいです」


 うん……。

 ボクもレイのことを誇らしく思っているよ。


『そこの2人~。いい加減いちゃつくのやめ~や~。うちがとばっちりを食らってウタちゃんに殺されてまうやんか~』


 インカムからシオの声が。


『何が「人としてどうかと思う」よ! 楓も零さんも、ドヤ顔して『人』を語るなんて100万年早いわ! そんな暇があるなら、控室のモニターの1つでも拭いておきなさい! もう! このインカム、髪の毛に絡むじゃないの! サイズ小さいんじゃないかしら⁉』


 ウタさん荒れてらっしゃいますなあ。

 ここは素直に従って、モニターをピカピカにして――手垢1つないキレイなモニターだ。新品かな?


「わたしが掃除しておきました」


 ああっ、ひさしぶりに魔女っ娘ルックのレイが控室の掃除を!

 100歩譲って並行稼働しても良いと思うけれど、同じ空間に2人のレイがいるのはどうかと思うよ?


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