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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第132話 マキカエレイ特別配信 その32~このゲームは「KAEDE-SAGA」よ。知らないわけないじゃない

 コウモリたちに誘われてテントの中に入ったら、コウモリたちがいきなり爆発⁉ 


『あ~、あ~あ~。ありがとう……』


 えっ、コウモリの塊が、人の言葉でしゃべった⁉ どういうこと⁉



 爆発の黒い煙が一か所に集まり、人型のシルエットになって行く。

 ぼんやりとしていたシルエットがだんだんとはっきりとしてきて――。


『助けてくれてありがとうって言っているのよ! わたしが感謝するなんてめったにないことなんだからね!』


「あ、はい……」


 ウタさん……こんなところで何やっているんですか……。


 ゴシックロリータなドレスに身を包んだ我らがセクシーお姉ちゃん、またの名を朝寝坊常習犯の吸血鬼こと、後藤詩さんではないですか。


『もっとうれしそうな顔をしなさいよね!』


「はい……わーい」


“なんというチベスナ顔”

“猫なのにチベスナとは”

“コウモリが美少女に⁉”

“ウタちゃんじゃん”

“本物?”

“なぎさもNPCだったみたいだし、うたちゃんもNPCかな?”

“黒い羽が生えてる”

“よく見るとしっぽも八重歯も”

“悪魔っ娘……?”

“推せる”

“また推し変かよ~w”


「えーと、ボクはちょっと先を急ぐので失礼しますね」


 そっとテントを抜け出して――。


『待ちなさい。まだ話があるわ』


 逃げられない。

 おかしいな、ボクのほうが圧倒的にレベルが高いはずなのに、威圧感が強すぎて……。


『一族を代表してお礼をさせてちょうだい』


「いや……お気持ちだけでけっこうですので。それではまたどこかで」


 厄介ごとに巻き込まれないためにもさっさとこの場を後にするほうが良い! 一族とか言っているし、このままコウモリの里にでも連れて行かれた日には、年単位で帰って来れない恐れもあるし!


『「蝙宮城へんぐうじょう」に招待するわ。一族を上げて歓待させてちょうだい』


「へんぐうじょう? 何ですかそれ?」


 まったく聞いたことがない単語だ。


蝙蝠こうもりの蝙は「へん」と読むのよ。まったく、楓は教養がないわね……』


 ウタ(こうもりの集合体)が呆れたようにため息を吐いた。


「なんかすみません……。でもボク、名乗りましたっけ?」


『このゲームは「KAEDE-SAGA」よ。あなたの名前を知らないわけないじゃない』


 なんかメタな発言を……。


「そうですか……。実は本物のウタさんだったりしますか……?」


 なんかもう、この受け答えってさ、普通にウタがログインしてキャラクターを操作している可能性もあるよね。


『ウタ? わたしの名前は蝙蝠族の族長・ウータよ』


 ウータですか……。

 別人ってことですね。はい……。


「初めまして、ウータさん」


『楓らしくないわね。堅苦しい挨拶は良いわ。さっさとその助けた亀に乗って「蝙宮城へんぐうじょう」に行くわよ』


「それは竜宮城の行き方では? それにコイツ、たぶんリクガメだから海は泳げないと思うんだけど。なあ?」


 突然話を振られたロッククリスタルトータスが、甲羅の中から首を長く伸ばし、ブンブン振って見せてくる。たぶん「泳ぐのはムリムリ!」って言っているんだろうなあ。


『バカね。蝙蝠の住処が海にあるわけないでしょう。洞窟に決まっているじゃない』


 そうっすか……。

 まあ、それもそうか。


『わかったらさっさと亀に乗りなさい!』


「いや……陸を行くならなおさらコイツは置いていったほうが……。足遅すぎて、逃げ遅れて生き埋めになりそうなところをボクが転がしてきたんだよ?」


 こんな鈍足ガメの背に乗ったら、それこそ何年経っても洞窟になんて辿り着かないのでは……。


『ロッククリスタルトータスといったら、飛行形態にフォームチェンジできるはずよね? さっさとしなさいよ。のろま!』


「飛行形態⁉」


 何ですかそれ⁉

 と、ロッククリスタルトータスのほうに振り返ってみると――。


 甲羅の中に手足を引っ込めているところだった。

 しばらく待つと、手足の代わりに、光り輝く翼が生えてきたではないか!


「えー、何これ⁉ めっちゃ光っているじゃん!」


 これが飛行形態ってこと⁉

 普通にかっこいいじゃん!


『何をぼんやりと眺めているのよ。準備が遅いわよ。さっさと乗りなさい。その前にテントを畳んでちょうだい』


 すでにロッククリスタルトータスの背中の上にいるウータさんが、無人のドームテントを指さした。


 あ、はい。

 片づけもボクがやるんですね。


「ウータさんも亀の背に? その背中に生えている自前の翼で飛ばないんですか?」


『日差しを浴びるのは嫌よ。日傘を差してちょうだい』


「はい……」


 ボクは歓待されるわけではなくて、ただの日傘係でしたか。まあそのほうが気が楽だね。


『ありがとう。ほら、鈍ガメ! さっさと出発しなさいよ!』


 ウータに甲羅を叩かれて、ロッククリスタルトータスは慌てたように空へと舞い上がった。


 んー、どうやらこれは強制イベントらしい。


 ロッククリスタルトータスから少しだけ乗り出して、地上を見下ろしてみると、たくさんの魔物たちがこっちを見上げていた。


 どうやらみんなとはここでお別れのようだ。

 じゃあみんな、またどこかでなー。達者で暮らせよー!


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