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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第131話 マキカエレイ特別配信 その31~ボクが殿《しんがり》だ!

「おい! コウモリたち! さっさと動け! 死ぬぞ!」


 大げさに手を広げながら叫んで見ても一切反応なし。

 

 イラッ。

 壁にしがみついているコウモリたちを叩き落としてみる。


 ギャギャギャ~!


 おかしな鳴き声を上げてボクのほうに突進……してきたと思ったら急に角度を変えてダンジョンの出口のほうに向かって飛んで行った⁉ なんで逃げたの⁉


(かえでくんのレベルが高いので、平均レベル25のブラッドバッドでは太刀打ちできないと判断したのでしょう)


「そういうものなんだ? 魔物って何があってもプレイヤーに向かってくるものだと思っていたわ」


 ヘイト管理って言うんだっけ? 魔物同士で縄張り争いしたりはしないで、プレイヤーを狙って攻撃してくる。そういうプログラムになっているんでしょ?

 

『そんな古臭いシステムになっているわけないでしょ~。ルーナちゃんが管理している世界だよ? もちろん、1体1体の魔物にも自立型AIプログラムが搭載されていて、個々で考えて行動しているよ~』


 そうなの? そのわりには、ダンジョン内ではみんなボクに向かって攻撃してきていたし、単調な動きだなあって思ってましたけど?


『それは楓ちゃんがとっても弱そうだから、魔物たちの新人教育の場に使われていただけだよ』


 新人教育だと⁉ 舐めやがって……。

 まあ初心者だから間違ってはいないんだけど……でもイラっとするな。


「おいー。お前らもボクのことを舐めているのか⁉ ボクはもうレベル53だぞ! さっさと逃げないとワンパンで倒すぞ⁉」


 この爪! そしてビームで根絶やしにすることだってできるんだからな!


 と、脅しをかけた瞬間。

 コウモリたちが一斉に壁や天井を離れ、ダンジョンの入り口に向かって飛んで行った。


 まさか脅しが効いた……?


“コウモリ相手に凄む猫w”

“小者ムーブがめっちゃ似合うわwww”

“デカいピンクベアにも同じことをやってくれw”

“コウモリが多すぎて楓の姿が見えんわ”

“これだけの数がいるなら、一気に襲い掛かればレベル53でも倒せるんじゃね?”

“なぜコウモリサイドで語るんだw”

“イキりカエデに痛い目をw”

“なんてやっていると楓も生き埋めになるんだが?”


「そうだった! ボクも逃げなきゃ! なんかめっちゃデカい亀がいる! 甲羅が透明で光っていてきれいだな。こんなやつダンジョン内にいたっけ⁉ そんなことよりお前、足遅すぎるぞ!」


 このままだと絶対、脱出が間に合わないじゃん!


 あー、もう転がしていくわ!

 

 甲羅の直径が、ボクの身長くらいある巨大な亀。

 壁を使って縦にして――暴れるな! 腹パン! お、甲羅の中に引っ込んだ。


 よーし。大玉転がしならぬ、亀玉転がしだ!


 遅れているヤツはいないかー⁉ 急げ急げ! みんなボクより前に行けよ! ボクが殿しんがりだ!



「ふぃー。なんとか外に出られた……」


 入り口付近は大渋滞だ。

 魔物たちは逃げるのに走り疲れたのか、いくつかのグループに分かれて休んでいるようだった。


 後ろで激しい落石音。


「あー、ダンジョンの入り口が土砂で埋まっちゃった……」


 ボクのせいでホントに潰れちゃったんだなあ。


「なんかなー。ごめんな? わざとじゃないんだけど、ダンジョンコアを破壊して、お前らの住処を奪ってしまって……」


 そんなつもりはなかったんだよ。

 ダンジョンの仕組みとか、ぜんぜんわかっていなくて……。


 と、最後に転がしてきた亀が、首を伸ばしてボクの足に噛みついてきた。


「ん、亀? なんだよ? お前のレベルでボクの足をかじっても攻撃は効かないぞ?」


(その亀はロッククリスタルトータスと言います。レベル50です。体内で水晶を生成することできる珍しい種類の魔物ですね。初心者ダンジョンの3階層に生息しているのですが、壁などに偽装することが得意で、プレイヤーが目視で発見できることはほとんどありません)


「ほー、お前もレアなやつだったのか。何? 水晶くれるの? お礼なのかな。まあ、ありがとう。記念にもらっておくわ」


 プレイヤーに見つからないように達者で暮らせよ。


 って今度は何⁉

 って、黒い塊かと思ったら、コウモリたちか……。集まり過ぎて、コウモリ傘を差している人みたいなシルエットになっているけれど、外側の傘役のヤツが日に当たってかわいそうじゃない?


「お前たちは日差しが苦手なんだよな。無理やり追い立てて悪かったけれど、あのままだと全滅しちゃうからさ……」


 なんか言えよ……。

 黙って目の前に立たれると気まずいじゃん。


「あ、そうだ。宝箱から出たんだけど、このアイテムあげるよ。ボクよりもお前らのほうが必要だと思うし」


 ほら、ドーム型のテントだよ。

 旅をするにはけっこう便利かなーと思ったんだけど、よく考えたらこんなデカいテントがあってもボクは1人旅だし邪魔だからさ。大所帯のお前たちが使ったほうが良いかなと。ワンタッチで組み立てと収納ができるし、お前たちみたいに手がなくても大丈夫。


「たぶん遮光になっているから昼間に逃げ込むのにも便利だぞ。入ってみろー」


 おーおー、一瞬で満員だね。

 ん? ボクにも中に入れって言っている? 別にボクは日差しが苦手ではないんだけど……。わかったよ。入れば良いんでしょ。


「お邪魔しますよ。んー、中は意外と暑くないし快適じゃん。ダンジョン壊しちゃってごめんだけど、これを持ち歩いてどこか新しい住処を探してくれよな」


 んー? なになに? またコウモリたちがボクの目の前に集まって人型のシルエットに? わざわざ会釈を? 芸が細かいね。ご丁寧にどうも。


 って何⁉ コウモリたちが爆発した⁉


「えっ⁉ えっ⁉ まさかこのタイミングで攻撃⁉」


 魔物だし⁉


『あ~、あ~あ~。ありがとう……』


 えっ、コウモリの塊が、人の言葉でしゃべった⁉


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