第130話 マキカエレイ特別配信 その30~初心者ダンジョンはまもなく消滅します
「めっちゃくちゃ地面が揺れているし、爆発音も大きくなってきているんだけど⁉」
ねえ、これって大丈夫なの⁉
いきなりガソリンで焼かれて、ダンジョンボスが怒り狂っているとか⁉
(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル53になりました)
「えっ⁉ いきなりジャンプアップした! どういうこと⁉」
(ダンジョンボス討伐の経験値が入りました。おめでとうございます)
ダンジョンボス……。
顔も見ていないけれど、やっぱりこの爆発で死んだのか……。
“ないす楓!”
“良いビームだったぜw”
“卑怯だけどなw”
“寝首を掻きやがった”
“さすがチィタマwww”
“盛り上がりどころは嫌そうにランタンを放り込むところw”
“あとで編集して良い感じにしてくれ”
“ボスどんなやつだったんだ……”
“しっかし爆発うるせぇな”
「いやー、なんかみんなごめんね。あの中にダンジョンボスがいたみたいだわ……。ガソリンで死ぬとは思わなかった……」
もっと派手な対決を期待していたよね。
なんかこう……次はがんばるわ。
(ダンジョンコアの破壊に成功いたしました。おめでとうございます)
「ダンジョンコア? それは何?」
なんかのレアアイテム?
(ダンジョンの心臓のようなものです。これがある限り、ダンジョンは維持管理され続け、魔物や宝箱が安定供給される仕組みになっています)
「冒険者が倒してもまた増えるんだ? 宝箱も?」
(一定期間のクールタイムを経て、中身が補充されます)
「へぇー、便利」
ダンジョンボスが魔物を産んでいるわけではないんだね。
(初心者ダンジョンはまもなく消滅します)
「えっ⁉」
急になんで⁉
(かえでくんがダンジョンコアを破壊したからです。これまではダンジョンコアがダンジョン維持のためにマグマの動きを押さえていたようです。ダンジョンコアの防護がなくなったのと、かえでくんがガソリンを爆発させたことが重なって、火山活動が一気に活発化したのではないでしょうか)
「だいぶボクのせいじゃん……」
ダンジョンコアを破壊したのもボク。
ガソリンを爆発させて火山を刺激したのもボク。
どうするのこれ?
(すぐに逃げないと危険です。ダンジョン自体の消滅の動きと、火山噴火の動きに巻き込まれてしまいます)
“ダンジョン脱出ミッション発生w”
“おもしろくなってまいりましたwww”
“お、魔物たちもダッシュで逃げて行っているな”
“楓のこと無視してめっちゃ逃げるやんw”
“つまり魔物が逃げる方向に出口があるな?”
“ここで親指を立てた楓がマグマの中に沈んでいく演出が?”
“アイルビーバーックb”
“糸冬”
「沈んでたまるかー! きっちり逃げるわ! 出口どこどこ⁉」
ホントに魔物の群れが進む方向に出口が⁉
(ダンジョンコア破壊ともに、偽装されていた出入口が解放されています。1階層、2階層からそれぞれ降りてきた場所がそのまま連絡通路になっています。マップを表示しますので走ってください)
よし、きた!
チィタマBダーッシュ!
小っちゃい魔物がジャマだなあ。
こんなやつらさっき戦ったっけ? めっちゃ金ぴかに光っているネズミがいる! レアアイテム持ってたりしないかな。
(ゴールデンマウスはめったにお目にかかれない魔物です。俊敏さに特化していて、かえでくんの現在のレベルでは攻撃をかすらせることも難しいでしょう)
「うーん。ボクもわりと俊敏さが売りのはずなのに悔しい……」
レベルを上げていつかは倒したいな。
「1階層に戻ってきたら、やたらとコウモリの群れが! なんでこんなに溜まっているんだろう⁉」
天井からぶら下がるだけではスペースが足りないのか、壁にもしがみついていてコウモリがいっぱい……。コウモリの通路を走っているみたいになっちゃっているじゃん。
(ブラッドバッドは夜行性です。現在ダンジョンの外は日差しが照りつけている時刻なので、外に出ることができないのでしょう)
えー、でもここに溜まっているんじゃダンジョン消滅に巻き込まれて……。
(それもまた彼らの運命なのでしょう)
それはなんだか悲しいな。
短い間だけど、このダンジョン内で戦ってきた戦友のような気がしてしまって……。
「おい! 眩しいからってここにいたらみんな死ぬぞ! ほかの魔物たちは必死に逃げて外に出ているじゃんか! お前らも行けよ!」
ここでビクビクしていてもダメなんだぞ!




