第126話 マキカエレイ特別配信 その26~その子が人気者になっている⁉
「チィタマーーークローーーーーースラァァァァァァァァッシュ!」
ボクが巣穴に近づこうとしているのがわかったのか、シャドウスパイダーたちの攻撃が激しくなってきた。
「チィタマークローースラァァッシュ!」
でも余裕!
もうレベルは追いついたし、いくら集まっても一撃で大量に倒せるようになった!
「スラッシュ! スラッシュ! スラッシュ!」
へへーん♪
このまま一気に殲滅するぞー!
「巣穴は――」
しゃがんで壁の割れ目を覗き込む。
あ。
鳥肌――。
「あ、これ、見たらヤツだ。グロ注意……。集合体恐怖症の人は絶対見ちゃダメなやつ……」
ボクだって苦手だよ。
できれば記憶を消したい……。
「あー、一旦作戦タイム。スラッシュ! だからタイムだって! スラッシュ! スラッシュ!」
“魔物相手にタイムを要求w”
“集合恐怖症って……”
“想像しただけでやべぇ”
“映像は非表示で頼む”
“どうすんだ”
“そこがボス部屋?”
“さすがにダンジョンボスなら厳かな扉があるんじゃね?”
“このゲームの作り次第”
“卵いっぱいか……”
“ちょっと画面オフにしようかな”
“さすがに楓に同情する”
“さっきのランタン使えば良いのではないかと”
ん、ランタン?
「ねえ、そ……サイキック。ランタンをどう使えば良いの?」
ついついその子に私信を。
でも気になる。
“さっきドロップしたランタンは、見たところガソリン燃料ですよね”
インベントリーから取り出して実体化させてみる。
「あー、たしかにそう書いてある!」
“ガソリンをもっとたくさん手に入れて火をつければ、蜘蛛の巣を焼き払うことが可能なのではないかと思いました”
「なるほど! ガソリンで巣を焼く! 天才じゃん! サイキック愛してる♡」
チュッ♡
“はっ、キモ”
親友に対してその反応はおかしいでしょ!
“さすがメイメイ単推しwww”
“ブレないサイキックさんパネェっすwww”
“楓フラれw”
“このやり取りたまに見るけどなんなのw”
“裏山”
“楓そこ代われ!”
“メイメイのファンにだけは気安い”
“楓も自称メイメイオタだからな”
“別垢でファンの配信見てるしなw”
“あー、あれなw”
“みんな気づかない振りをしているあれw”
“俺たち大人だからさ”
「おい、どういうことだよ⁉」
ボクの別垢《別アカウント》の存在がバレている⁉
さすがにカマかけだよね⁉
「いやー、別垢って何? そんなの持ってないよ? 会社から怒られちゃうし」
SNSやWebサービスのアカウント作成は、会社に申請して許可が下りないと作れませんからね! まさかプライベートアカウントなんてあるわけないでしょ! 口笛ぴゅーぴゅー。
「スラッシュ! お? もしかしてこれって……予備のガソリンじゃん!」
迷彩柄の小さなガスタンクが手に入った。
もしかしたらこのシャドウスパイダーを倒していたら、けっこうガソリンが手に入るのでは⁉
(魔物の種族によって、ドロップするアイテムには偏りがあるようですね)
「なんとなくそれは気づいていたよ。食べ物や飲み物は超レアアイテムっぽいこともわかっているかな。スローリーピンクベアからは、やたらとたくさん角材が出たもんなあ」
そういえば1階層の魔物はコインしかドロップしなかった。
コインがハズレでほかのアイテムがアタリってことなんだろうね。
「とりあえずレベル上げを兼ねて、ここで生まれてくるシャドウスパイダーを倒しながらガソリンを手に入れるかな」
アイテムがドロップしなくなるレベルまではがんばろう。
「よし、ここからは作業配信だ! スラッシュ!」
“スラッシュ!”
“ちゃんと技名言えよw”
“私は学校に行ってきます”
“いてらー”
“いてらん”
“いってらっしゃい”
“サイキックさんが学校に。そろそろ寝る時間か”
“昼夜逆転し過ぎだぞw”
“俺も飯落ち”
“くってらー”
“おやすみ”
お前ら自由だな。
ここは一応≪初夏≫の公式チャンネルなんだぞ? なんかの実況板にでもいってやって……と思ったけれど、いなくなられると淋しいから早く帰ってきてね?
(かえでくんかわいいです)
心の声にツッコむのやめて!
それにしてもコメント欄での|宮川その子《サイキック@メイメイ単推し》人気がすごい。
その子は最近Vtuberデビューしていて、小物作成配信がけっこうウケているみたい。ボクもたまに見ているし。
そもそも現地イベント参加を解禁してからは顔バレもしているし、普通に男オタが取り巻きしている雰囲気が……。その子は普段の格好はひどいけれど、イベントの時にはアパレルショップのお姉さんチョイスのゴスロリファッションで登場するし、そりゃまあ目立ちまくるよね。メイクバキバキで、まったく素顔がわからないから、ある意味ではあれで変装なのかも……。




